従業員が退職した際には、いろいろな手続きを行わなければいけません。
その中でも、退職する従業員が、雇用保険の加入対象者であった場合には、「雇用保険被保険者喪失届」というものを提出する必要があります。
入社の際には、「雇用保険被保険者資格取得届」というものを提出しましたよね。
あれの退職時バージョンです。
このような手続き関係の書類は、専門家や専門の部署であれば、毎日のように扱うので、問題なく処理できるかもしれません。
しかし、小さな会社の経営者や労務担当者はめったに扱わないために、書き方がわからなくなってしまい、記入例を探すということも多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは、そのような場合に役立つように、雇用保険被保険者資格喪失届の書き方を記入例とともにご紹介いたします。
目次
雇用保険被保険者喪失届は、労働者が退職した際に提出することになります。
しかし、それ以外にも提出しなければいけない場合というのがあるのでしょうか。
雇用保険に加入している従業員が、退職などの理由で雇用保険の加入条件に該当しなくなった場合に提出する書類となります。
そのため、退職時以外でも提出が必要となる場合があります。
これらの場合にも雇用保険の資格を喪失することになります。
退職したわけではないけれども、正社員からアルバイトになった場合や、アルバイトのシフトを減らし、週の所定労働時間が20時間未満となった場合などにも注意が必要です。
被保険者が役員となった場合でも、資格喪失となりますが、役員として雇用保険の加入条件を満たした場合には、雇用保険に加入し続けることが可能です。
また、以前は、65歳以上は雇用保険の対象外でしたが、現在は、加入対象となりますので、65歳以上になっても、資格喪失を行う必要はありません。
退職の日の翌日から10日以内に、会社側は、管轄のハローワークに提出する必要があります。
期限内に提出しなければ、「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の対象となりますので、注意が必要です。
郵送でも提出は可能ですが、簡易書留などの配達記録の付く方法で送る必要があります。
また、ハローワークからの書類の交付もありますので、切手を貼った返信用封筒が必要となります。
雇用保険被保険者資格喪失届を提出する際には、以下の添付書類が必要となります。
また、離職票の交付が必要な場合は、「雇用保険被保険者離職証明書」の作成・提出も必要となります。
59歳以上の場合には、本人の希望に関わらず、離職票の発行は必要となります。
ハローワークにて、資格喪失確認通知書(被保険者通知用)と離職票を受けとったら、退職者に送付しなければいけません。
退職者は、これらの書類をもって、ハローワークへ行き、雇用保険の失業給付の手続きを行います。
そのため、退職者にとっては、非常に重要な書類となりますので、すぐに処理するのが望ましいでしょう。
また、退職の大半の理由は、労働者側の都合だと思いますが、その他の理由の場合には、必要な添付書類が異なるので注意が必要です。
雇用保険被保険者資格喪失届ですが、用紙はハローワークにあります。
また、ハローワークのホームページからダウンロードして記入することもできますし、ホームページ上で入力してから印刷することもできます。
雇用保険被保険者資格喪失届は、ハローワークでもらうことや、ネット上で印刷することが可能です。
しかし、基本的には、資格喪失の際に使用するための一部が印字された雇用保険資格喪失届が、資格取得時に、ハローワークから渡されています。
ですので、基本的には、その書類を使用して、空欄部分に手書きで記入することになります。
手書きで記入する際の注意点は以下となります。
また、手書きの場合には、ボールペンなどではなく、鉛筆またはシャーペンで記入することになっています。
それでは、それぞれの記入方法について見ていきましょう。
個人番号欄には、対象の従業員のマイナンバーを記入します。
雇用保険の被保険者番号を記入します。
こちらの番号は、雇用保険被保険者資格取得届を提出した際の「雇用保険被保険者証」に記載されています。
※資格取得時に受け取った用紙には印字されています。
事業所の番号を記入します。
雇用保険に加入している企業に対して割り振られる、4ケタ-6ケタ-1ケタの、合計11ケタの番号です。
※資格取得時に受け取った用紙には印字されています。
雇用保険の資格を取得した年月日を記入します。
つまり、自分の会社で、資格を取得した日付です。こちらも雇用保険被保険者資格取得届を参考にしてください。
年、月、日が1ケタの場合は、10のくらいの部分に0を付けて2ケタで記入します。
【例】昭和51年5月6日の場合は、「3-510506」のように記入します。
※資格取得時に受け取った用紙には印字されています。
雇用保険の対象の労働者の離職等、雇用保険の対象外となる事柄の発生した年月日を記入します。
被保険者の資格喪失日は退職日や死亡日の翌日ですが、これとは異なりますのでご注意ください。
記入方法は資格取得年月日と同じです。
【例】令和1年8月25日の場合は、「1-020825」のように記入します。
離職の原因を以下の3つより選択します。
1.離職以外の理由
死亡、在籍出向、 出向元へ復帰など
3.事業主の都合による離職
解雇、退職勧奨、希望退職者の募集等
2.3以外の離職
上記の2つの理由以外です。例としては 、以下のような場合です。
・自己都合による退職
・天災等やむを得ない理由による事業廃止に伴う解雇
・懲戒解雇
・期間満了
・移籍出向
・60歳以上で定年を迎えた
・役員に就任した
・週所定労働時間が20時間未満になった
離職票の交付を希望する場合は「1」希望しない場合は「2」を選択します。
基本的に、退職者が希望しない場合以外は、「1」で良いでしょう。
1週間の所定労働時間を記入します。
退職前に、長期で欠勤していた場合などでも、就業規則などで定められた、週所定の労働時間を記入します。
あり、なしを選択しますが、ハローワークに求人を掲載していない限り関係ないでしょう。
被保険者の資格を喪失すると同時に、結婚などで氏名が変わる場合に記入します。
被保険者が外国人の場合のみ記入します。
14はローマ字氏名、15は在留期間、16は就労区分、17は国籍・地域、18は在留資格を記入します。
被保険者の氏名を記入します。
※資格取得時に受け取った用紙には印字されています。
被保険者の性別を選択します。
※資格取得時に受け取った用紙には印字されています。
被保険者の生年月日を記入します。
※資格取得時に受け取った用紙には印字されています。
被保険者の住所又は居所を記入します。
ご自身の事業所名を記入します。
※資格取得時に受け取った用紙には印字されています。
被保険者の氏名が変更している場合、氏名変更の年月日を記入します。
被保険者でなくなったことの原因、つまり、退職の理由を記入します。
記載内容によって、退職者の失業給付の内容が変わるので具体的に記入します。
単に退職などと記載するのではなく、本人から転職を希望する旨の申し出があったなど具体的に記入しておいた方が良いです。
最後に事業主の氏名や所在地を記入して、押印します。
これで問題なく提出できる書類が完成となります。
雇用保険被保険者喪失届は、退職の翌日から10日以内に提出しなければいけません。
この書類の処理が遅れてしまうと、退職者の雇用保険の失業給付に影響してしまいます。
退職自体が、会社への不満だったかもしれないのに、さらに、退職後の手続きが遅れることで、不満を持たせてしまうことは良くないですよね。
また、会社としても、余計なことでのトラブルは避けたいものなので、このような手続きはスムーズに済ませてしまうほうが良いでしょう。
なお、会社側は、退職の日の翌日から10日以内に、管轄のハローワークに提出する必要がありますが、期限内に提出しなければ、「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の対象となりますので、注意が必要です。
ペナルティがあるかどうかよりも、面倒くさいことを後回しにするよりも、早く済ませてスッキリさせたいですよね笑
退職の手続きというのは非常に面倒ですので。