常勤は出勤日数、やるべき業務、責任が明らかです。
一方、非常勤は勤務実態を把握しづらいのが一般的です。ですから、非常勤の場合は対税務署に対して状況説明ができるように、日ごろから勤務事実や役員会への出席事実など業務への関与状況を明確にしておきましょう。
常勤役員の報酬については、前述したように改定の時期や改定内容等により経費として認められない場合がありますが、金額自体に関して報酬が高すぎるという議論は現実としては、なかなかしづらい面があります。
というのは、常勤役員の場合は、当然、業務の実態があり業務の責任もありますので、それに対する報酬が高い低いとは、税務的にはいいづらいからです。
高い、低いという議論は、適正な水準の目安がある前提ではじめて成り立つものですから、業務に対する報酬が支払われている限り、通常は問題になりません。
そもそも常勤役員と非常勤役員はどこで区別するのかという点があります。
会社法上、特に「常勤」「非常勤」についての取り扱いがあるわけではありません(社外取締役、社外監査役はあります)ので、常勤か非常勤かについては、一般的な判断基準によることになります。
一般的には「常勤」の場合は、出勤日数もさることながら、やるべき業務や責任が明確になっており、指示命令系統にもとづき業務を遂行します。
一方、「非常勤」の場合は特に明確な業務内容、範囲が決まってはおらず、役員会への出席や週ないし月あたり、数日程度の出勤や必要に応じた相談、アドバイス等を行います。
したがって、税務署に対しても、常勤の場合その業務内容等を説明するのは比較的容易な反面、非常勤の場合、そもそもの業務内容等が明確でないために、その内容や実施状況を説明するのが、むずかしいケースも少なくありません。税務調査等で議論になりやすいのは、まさにその点です。
特に家族、親族が非常勤役員になっている場合、業務内容、実施状況があいまいになりがちです。にもかかわらずそれなりの報酬を支払っていると、そのあたりの説明をいかにできるようにしておくかが、大切なポイントになります。
勤務の事実、役員会等への出席の事実、相談等の実績などをこまめに記録(ないし書面へのサイン等で関与を明確にしておく)して残しておくことで、税務署に対する説明がしやすく、説得力をもつことになります。
また、非常勤役員に対する報酬金額についても、当該役員の業務内容や関与度合がまちまちなために客観的で妥当な金額を設定するのがむずかしいのが現実です。
一般的に支給されている金額も、月額5万円であったり、10万円であったり、さらに20万円以上もあったりします。
いずれにしても、会社業務への関与の実態を明確にしておく必要があります。