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代表取締役が複数の場合は印鑑届・登録はどうなる?代表者印の登記

代表取締役というのは、会社で一番偉い人というイメージですが、必ずしも会社に一人とは限りません。

一つの会社に、複数の代表取締役を置くことは、会社法でも認められています。

そうすると、基本的に、会社の代表印というのは、代表取締役に対して、登録・登記することになるのですが、複数の代表取締役がいる場合にはどうなるのでしょうか。

そこで、ここでは、代表取締役が複数いる場合に、印鑑届の登録はどうなるのかということについて、くわしく見ていきたいと思います。

会社に複数の代表取締役を置くにはどうすれば良い?

通常、会社の代表取締役は1名の場合が多いですが、会社法では、2名以上を代表取締役とすることも可能となっています。

代表取締役を複数置く場合は、取締役会の有無により、手続きが異なります。

取締役会が設置されている会社の場合の手続き

取締役会が設置されている会社では、取締役は3名以上であり、その中から代表取締役を決めます。

この場合は、以下のように手続を行います。

①定款に代表取締役を複数設置できるように記載

会社設立時から、代表取締役を複数設置できるように記載している場合は、そのままで問題ありません。

当初はその予定がなく、定款に「代表取締役は1名を選定する」などと記載している場合には、定款の変更が必要となります。

②取締役会により代表取締役を選定

取締役会を開催し、新たな代表取締役を選定します。

③登記申請

新たな代表取締役を登記します。

その際に必要な書類は以下となります。

  • 取締役会議事録
  • 新たな代表取締役の就任承諾書
  • 新たな代表取締役の印鑑証明書
  • 印鑑証明書(取締役会議事録に出席役員全員が押印した印鑑)
  • 印鑑届書(新たな代表取締役分を登録する場合)
  • 登録免許税(1万円※資本金の額が1億円を超えている会社は3万円)

取締役会が設置されていない会社の場合の手続き

取締役会を設置してない会社では、原則、取締役全員に代表権があります。

しかし、多くの会社では、会社法の規定により、原則、代表権を持つ取締役を1名としているかと思われます。

取締役会が設置されていない会社では、以下のように手続を行います。

①株主総会で定款を変更

会社設立時から、代表取締役を複数設置できるように記載している場合は、そのままで問題ありません。

当初はその予定がなかった場合には、「当会社の取締役が2名以上ある場合は、取締役の互選により代表取締役を1名以上定める。」などのように、定款を変更します。

②取締役の互選により代表取締役を選定

取締役互選により、新たな代表取締役を選定します。

③登記申請

新たな代表取締役を登記します。

その際に必要な書類は以下となります。

  • 取締役決定書
  • 新たな代表取締役の就任承諾書
  • 印鑑証明書(取締役会議事録に出席役員全員が押印した印鑑)
  • 印鑑届書(新たな代表取締役分を登録する場合)
  • 登録免許税(1万円※資本金の額が1億円を超えている会社は3万円)

このように、複数の代表取締役を置くためには、手続きを行います。

それでは、複数の代表取締役を置く場合に、印鑑登録はどうなるのでしょうか。

代表取締役が複数いる場合の印鑑登録はどうする?

複数の代表取締役がいる場合には、会社の代表印の印鑑登録は、どのようにするのが良いのかを見ていきたいと思います。

会社の代表印の印鑑登録は何のため?

会社の設立登記を行うときには、実印の印鑑登録を法務局で行います。

これは、会社同士で契約を行う際に、その印鑑が会社の印鑑であるということを証明するためです。

これによって、会社同士の取り引きが安心して行えるということになります。

代表取締役を複数置くときの印鑑登録はどのように行う?

多くの会社では、代表取締役が1人であり、会社の実印も1本となっています。

しかし、代表取締役が複数となった場合には、印鑑登録はどのようにするのでしょうか。

会社の実印は1本だけ印鑑登録をする

会社の実印を1本だけしか作らず、印鑑登録も1本だけにするという方法があります。

この方法は、契約などを行う際には、会社の意思表示がわかりやすく混乱を招きにくいものとなります。

ただし、複数の代表取締役で、印鑑を共同管理をするというのは、法律では認められていません。

そのため、代表取締役のうちの1人が印鑑登録と管理を行います。

そうすると、印鑑を管理している代表取締役が、1人で会社の実印を押すことができてしまうので、代表取締役が複数いるメリットが活かされない部分も出てきてしまう可能性があります。

会社の実印を代表取締役の数だけ印鑑登録を行う

代表取締役1人につき、1本の実印を作り、それぞれを法務局に登録するという方法です。

この場合では、代表取締役が個々に、契約を交わすことができてしまうので、契約を行う際のルールを決めておくほうが良いでしょう。

代表取締役を複数置く場合には、メリットとデメリットがありますので、注意が必要となります。

代表取締役を辞任した場合の印鑑登録はどうなる?

現在の代表取締役が辞任し、新たな代表取締役が就任する場合には、前任の代表取締役が印鑑登録の廃止を行い、新任の代表取締役が印鑑登録することになります。

新たな代表取締役が就任した際に、前任の代表取締役が使用していた印鑑とは別のものを登録する場合には、前任の代表取締役の印鑑は、廃止届を出さなくても、自動的に廃止となります。

代表取締役を複数置くのはメリットとデメリットがある

代表取締役は、会社に1人とは限りません。

複数を置くことも可能となっています。

会社の代表印の印鑑登録も、1つだけでも、複数でも構わないことになっています。

しかし、この場合には、会社の運営上において、代表取締役が複数いることで、メリットとデメリットが考えられます。

それらを考慮した上で、会社の体制を考えるのが良いのではないでしょうか。

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