Q.税務調査で頼りない税理士
先日、税務調査が来ました。開業して3年、初めての税務調査の知らせにドキドキしてしまい税理士に電話をしました。すると、「大丈夫何も心配ありません」と言います。しばらく税理士と話したところ何かおかしい。「先生は立ち会ってくれないんですか?」と尋ねると「ちょっと別件があって・・・」との返事。私は猛然と抗議し、何とか立ち会ってもらうことにしました。当日、立会いはするものの、ほとんど税務署員の言いなり。「この処理はムリがありますよね」って自分で指示しといて・・・。税理士ってみんなこんなもんですか?
A.税務調査対応は、税理士のスタンスと“場数”が重要
まずはじめに顧問税理士には申告の際、必ず税務代理権限証書を添付してもらいましょう。税務代理権限証書は「当社の税務は○○税理士に一任していますよ」という意思表示であり、これにより税務署は税務調査の際、顧問税理士に事前通知し、両者で調査日程の打合せをした上での実施となります。逆に言えば税理士には立会いの義務が発生し、ご相談のような対応はできなくなります。
さて、その上で税理士の能力についてですが、何と言っても税務調査対応で重要なのは“場数”でしょう。その税理士が如何に多くの回数、さまざまなバリエーションの、時にはとても複雑な、あるいは巨額な税金を左右するような税務調査を主体的に経験したかが重要です。小さな事務所に勤め、税理士の資格を取得し、独立して限定的な顧問先を坦々とこなされてきたような先生の中には、いくらキャリアが長くても“場数”が足りず、ご相談のような対応になってしまうケースがあるかもしれません。また、“場数”を前提とした上で「税務署にも毅然とした態度」がとれるか否かはその税理士のスタンスにも関わってきます。顧問先に積極的に深く関わり、貢献したいと真に考えているかどうか見極める必要があります。
最後に税務署OBの税理士について解説します。税務調査について言えば、税務署の意図を予期し、税務調査の流れを熟知している。あるいは「コネが効く」とまでは言いませんが、少なくともかつての同僚となれば、世間話もしやすく、税務署員とも円滑なコミュニケーションが取れるというような点で期待できるポイントは沢山あります。しかしOB税理士で気をつけなければならないのは「税務調査以外の能力」です。健全経営をしていれば、中小企業に税務調査が入るのは3~5年に一度。それ以外の多くは月次試算表や給与計算、年末調整、決算申告といった地道な業務がほとんどです。税務調査の前に日常の会計業務がずさんでは本末転倒でしょう。
そこで「何と言っても税務調査対応」というご相談の方に、当センターでは、日常業務の担当者以外に税務調査専門の担当者がいる会計事務所をご紹介しています。