会社設立のメリット・デメリット!手続きの流れも徹底解説!
会社の設立を考えているものの、初めての場合はどこから手をつけたらいいのかわからない人は多いでしょう。資金調達も含め、開業までには何かと準備が必要です。スムーズに進めるには、まず何が必要なのか知っておかなければなりません。そこで、この記事では会社を設立するメリットやデメリット、法人と個人の違いなどを説明し、設立までの一般的な流れを紹介します。
目次
知っておこう!会社設立のメリット・デメリット
会社を設立する前に、まずどのようなメリットやデメリットがあるのか知っておく必要があります。
メリット
では、はじめに会社を設立することで考えられる一般的なメリットについて見ていきましょう。
社会的な信用が高い
まず、メリットのひとつとして挙げられるのは、個人事業主と比べて社会的な信用が高いことです。会社を設立する際、商号をはじめ代表者や役員などの登記を行います。一方、個人事業の場合、登記は必要ありません。個人でも屋号を使うことは多いですが、株式会社〇〇のような商号はなく、せいぜい税務署に届けるだけで済みます。一方、登記は会社の基本事項を決めて法務局に届け、登録と同時に公表されます。つまり、実態を把握しやすく、そのぶんだけ信用度が上がるということです。
そのような事情から、なかには法人としか取引や商談を行わないという会社もあります。また、個人との取引はしても、商品やサービスの提供は前払いしか受けないという会社は少なくありません。その点、法人なら月末での一括払いなど後払いに応じてくれることも多く、業務をスムーズに進めることが可能です。信用の高さについては、融資にも同じことが言えます。金融機関にもよりますが、個人よりも法人のほうが融資の対象になりやすい傾向が見られます。ほかにも、助成金などの種類も法人向けのほうが多く、受けやすいのもメリットです。
経費として計上できるものが多い
経費として計上できるものが多いのも、会社を設立するメリットと言えます。個人事業主なら経費として計上しにくいものでも、法人なら経費として扱われやすい傾向はあります。そのため、個人と比べれば節税しやすいと言えるでしょう。たとえば、生命保険料や社長の出張手当、さらに冠婚葬祭費用などが挙げられます。保険料は個人事業主でも経費として計上できますが、認められるものは自動車保険料や火災保険料といった損害保険などが主です。ほかには、従業員の生命保険料などは経費にできますが、事業主自身の生命保険については経費として扱うことはできません。
また、個人事業主は経費にできない冠婚葬祭費用も、法人なら計上することが可能です。法人の場合、業務に従事している家族がいれば、給与を渡して経費として扱うこともできます。個人事業主も、業務に参加している家族を専従者として扱い、そのぶんの給与は経費として扱えます。ただし、個人事業主の場合は青色申告をしていることが前提なうえに、事前に管轄の税務署に氏名や給与など細かい内容を届けておかなければなりません。しかし、法人は個人事業主のような制限がない点がメリットです。
経費については、実際には個人事業主でも認められるものはたくさんあります。たとえば、自宅の一部を事務所にしている場合は、賃料や光熱費も経費として計上することは可能です。ただ、こういったケースでは経費と家事消費の線引きがあいまいになりやすく、なかには認めてもらえないものも出てきます。その点、法人のほうが有利な点は多いと言えるでしょう。
さらに、節税の面で大きなメリットになるのは法人税が適用されることです。個人事業主は、確定申告によって所得税が決まります。所得税は、所得が多いほど税率が上がるため、利益が出ればそれだけ高い所得税を納めなければなりません。ところが、法人税の税率は一定のままです。そのため、法人税を気にすることなく利益を出すことができます。
デメリット
続いて、会社を設立することでどのようなデメリットがあるのか紹介します。
設立や維持運営にコストがかかる
会社を設立する際、どうしても費用がかかります。事業を始めるには、その業種に応じた準備資金がかかるのは仕方のないことです。しかし、法人にするには登記をしなければなりません。たとえば、株式会社なら登録免許税や定款認証の公証人手数料なども必要です。これらにかかる費用だけでも20万円程度は出ると考えておいたほうがいいでしょう。ほかにも、法人となると用意しなければならないのが資本金です。資本金の額には決まりはないものの、公表される以上は相応の資本金を用意したほうがいいでしょう。
こうしたコストがかかるのは、設立時だけではありません。会社を維持し、運営するにもコストがかかります。そのひとつが法人住民税の均等割です。個人事業主の場合、所得が低ければ所得税自体発生しないこともあります。ところが、法人になると、たとえ赤字でも法人住民税の均等割を収めなければなりません。法人の場合、所在地が自治体の行政区域にあれば、法人住民税の均等割を収める義務が発生します。最低でも7万円程度支払う必要があり、赤字が続く中小企業などは大きな負担になるかもしれません。
社会保険への加入が必要
2つ目のデメリットとして挙げられるのは、社会保険の加入です。従業員を抱えていれば、会社としては社会保険に加入させなければなりません。しかも、保険料のうち半額を会社が負担するのが一般的です。そのため、従業員が多ければそのぶんだけ出費がかさむのは大きなデメリットです。また、社会保険は、個人事業主が加入する国民年金や国民保険と比べると保険料が高いのも負担になる要因と言えます。社会保険料の負担額は、会社の業績に応じて変えられるものではありません。それだけに売上が伸びないときの負担は大きなものになります。
会社設立と個人事業主との違いとは?
会社を設立して法人にした場合と、個人事業主の場合では基本的にいくつかの違いがあります。まず、もっとも大きな違いは、個人事業主は登記が不要なことです。個人事業主は、事業を始める際、せいぜい管轄の税務署に開業届を提出するだけで済みます。事業を開始するときに届けを出すのが一般的ですが、実際には確定申告の際でも特に問題はありません。一方、法人となると定款を作成しなければなりませんし、登記も必要です。
事業年度についても個人事業主と法人では違いがあります。個人事業主は1~12月で区切ることになりますが、法人は自由に選ぶことが可能です。そのため、繁忙期を避けるなど会社の特性に合わせて決めることができます。経営者の給与の扱いについても大きな違いと言えます。個人事業主は、自分の給与については経費計上することはできません。経費にできるのは、専従者として事前に税務署に届けを出した家族の給与だけです。しかし、法人の場合、役員報酬を受け取ることができ、経費として扱えます。
どっちにする?株式会社と合同会社!
個人事業主と法人の違いを説明しましたが、法人には種類があります。会社の設立を決めた後は、どの法人にするべきかというステップに進むことになるでしょう。ここでは、法人のなかで多い「株式会社」と「合同会社」の2つについて解説していきます。
株式会社とは
株式会社は、日本でもっとも多い形態の法人です。株式会社の大きな特徴は経営者と出資者が異なる点で、株式の発行により資金を調達します。そして、出資者である株主には配当金が支払われます。株主は、会社そのものを直接経営することはありません。しかし、役員を選任するなどさまざまな権利が与えられます。そのため、株主総会によって会社の代表の選出を行ったり経営に対しての改善点を求めたりといった形で参加することが可能です。なお、役員の任期は最長の場合でも10年という決まりがあります。
合同会社とは
合同会社は、経営者と出資者が同じという点が株式会社との大きな違いであり特徴です。出資者が自ら経営を行うため、柔軟性があるのも特徴のひとつと言えるでしょう。合同会社の場合、出資者は全員「有限責任社員」です。有限責任社員とは、たとえば会社が負債を抱えたとき、自分が出資したぶんだけの責任を負うことをいいます。つまり、はじめに出資したぶんの損害を受けることはあっても、それ以上の責任が生じることはありません。
合同会社は設立にかかる費用が抑えられるのも特徴のひとつで、株式会社に比べると14万円ほど安くなります。これは、定款認証がないうえに登録免許税が安いことが理由です。そのため、コストの面でメリットがあると言えます。役員の任期が決められていないのも株式会社との違いで、そのぶん手続きも不要です。また、株式会社のような決算公告義務もなく、決算公告を行う必要がありません。
会社を設立する流れや手続きについて
では、ここからは会社を設立する基本的な流れと手続きについて紹介します。
会社設立事項を決定する
はじめにやっておきたいのは、会社設立事項の決定です。設立事項は定款作成に必要になるもので、これが決まっていないと先へ進むことはできません。まず決めなければならないのは商号です。どのような会社名にするかで会社の印象が左右されるため、さまざまなアイデアから決めることが望ましいと言えます。また、ほかに類似した社名がないかどうか考慮することも大切です。商号には、必ず株式会社または合同会社を入れましょう。
本社所在地も定款作成に必要な事項です。そのため、本社をどこに置くか決定させることも初期の段階で決めておきます。次に決めておきたいのが資本金です。資本金は初期費用とは別に考えなければいけません。目安としては、最低半年分の運営に必要な資金を用意できればいいでしょう。続いて、事業年度を決めていきます。事業年度とは、わかりやすく言えば決算月をいつにするか決めるということです。そのため、通常は繁忙期を避けるようにします。
株式会社の場合、株主の構成についても決めておかなければなりません。そして、発起人の決定を行います。発起人は、会社の設立以降は株主と呼ばれるようになります。続いて、役員構成を決めます。代表取締役をはじめ取締役や監査役などを決定しておきましょう。
事業目的を明確にする
事業目的とは、どのような事業で利益を生んでいくのかということです。会社設立には、利益を生み出す具体的な事業内容を明確にすることが重要になります。その際、3つのポイントを念頭に置いて決めていくといいでしょう。まずは「営利性」です。事業を行う以上、利益を出すのは必須条件と言えます。そのため、ボランティアのような非営利活動を事業目的にすることはできません。
次に押さえておきたいポイントは「明確性」です。誰が見てもわかりやすいもので、具体的なものが求められます。たとえば、商品を販売することで利益を得たり飲食やサービスの提供で利益を得たりといった内容のことです。最後に、3つ目のポイントとして「適法性」が挙げられます。たとえば、麻薬販売など違法な事業での登記をすることはできません。
会社の印鑑を作る
次に、会社の印鑑を作ります。印鑑は、登記に使う書類や定款などに必要になります。そのため、商号や所在地が決まった時点で発注しておくといいでしょう。会社の印鑑は、代表者印(法人実印)と銀行印、そして角印と呼ばれる社印、さらにゴム印の4種類を作っておくと便利に使えます。印鑑の作成ができたら実印は印鑑登録をし、印鑑証明を取得しておきましょう。また、法人の場合は役所ではなく法務局で印鑑登録を行います。
定款を作って認証を受ける
定款とは、会社の基本事項を定めたもので、商号や本社所在地、事業目的のほか、株式や事業年度といった内容を記したものです。つまり、会社の運営や組織に関するルールや決まりをまとめたものと考えればいいでしょう。ここまでの流れで決めた内容が、定款に盛り込まれることになります。そして、作成できた定款は、本社の所在地がある公証役場で認証を受けなければなりません。これを「定款の認証」といいます。また、定款はPDFデータとして電子認証することも可能です。この場合は「電子定款」と呼びます。
資本金を支払う
定款ができたら、次は資本金を支払います。前述したように、資本金の額は特にいくらという決まりはありません。実際には、1円で会社を設立することも可能です。ただし、資本金の額によっては設立した後で不利な状況になることもあるため、慎重に決める必要があります。まず、融資を受ける際は、資本金の額によって審査の結果に影響が出やすくなります。融資を視野に入れているなら、特に慎重に考えたほうがいいでしょう。
ただし、資本金は高ければいいということもないため、注意が必要です。資本金が1000万円を超えると、設立した初年度から消費税がかかります。会社が軌道に乗る前から消費税が発生するのは負担になるでしょう。たとえ用意できる額であっても、設立後のことを考えて決めることが大切です。
登記申請書類を提出する
ここまでできたら、いよいよ法務局へ登記申請書類を提出します。登記申請書類は、資本金の支払いを済ませてから2週間以内に行わなければなりません。そのため、資本金を支払うまでにあらかじめきちんと準備ができていることがポイントになってきます。ここで押さえておきたいのは、登記申請書の提出日が会社の設立日になるということです。こだわりのある日付が決まっている場合は、ずれることがないよう注意しておきましょう。また、申請は原則として会社の代表取締役が行います。
サポートを利用してスムーズに会社を設立しよう!
会社を設立するにはさまざまな書類が必要です。そのため、手続きが煩雑になりやすく、自分で行うのは難しいと感じる人は多いかもしれません。また、設立するに当たって得られるメリットやデメリットなどをあらかじめ知っておくことも大切です。会社の設立を考えているものの書類の準備などで困ったときは、手続きの代行を受けてくれる「会サポ」に相談してみましょう。設立した後のサポートも依頼できて安心です。