相続人の消費税の届出
(1)提出期限の原則
消費税の「課税事業者」や「簡易課税制度」の選択の届出書は、適用しようとする年の前年末日(12月31日)が提出期限となります。
ただし、適用しようとする年が事業を開始した年の場合には、その年の末日が提出期限となります。
したがって相続により初めて事業を開始した場合も、通常の事業開始と同様に事業を開始した年(相続開始の年)の末日までに提出すれば、相続開始の年またはその翌年から適用を受けることができます。
(2)相続があった場合の提出期限の特例
相続があった場合、たとえ相続人が被相続人の事業を承継した場合でも「課税事業者選択届出書」や「簡易課税制度選択届出書」などの届出書の 効力は承継されませんので注意が必要です。
したがって相続人は新たに届出書を提出し適用を受けなければなりません。
1.課税事業者を選択していた被相続人の事業を免税事業者の相続人が承継したケース
免税事業者である相続人が課税事業者である被相続人の事業を承継した場合、相続開始の年の末日までに「課税事業者選択届出書」を提出す れば、相続開始の年から課税事業者を選択することができます。
2.簡易課税を選択していた被相続人の事業を課税事業者の相続人が承継したケース
すでに課税事業者である相続人が簡易課税制度を選択していた被相続人 の事業を承継した場合、相続開始の年の末日までに「簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、相続開始の年から簡易課税制度を選択することができます。
なお、相続人が簡易課税制度を選択できるかどうかの判定は、相続人の基準期間における課税売上高で判定します。
3.やむを得ない事情があるケース
上記のとおり、相続があった場合の課税事業者や簡易課税制度の選択の届出書は、相続開始の年の末日までに提出すれば相続開始の年から適用を受けることができます。
しかし、例えば12月中に相続が開始した場合などのやむを得ない事情により相続開始の年中に提出できなかった場合には、特例承認申請書を2月末までに提出すれば相続開始の年から適用を受けることができます。
<参考>相続の場合のやむを得ない事情
その年の末日前おおむね 1月以内に相続があったことにより、その相続に係る相続人が新たに「課税事業者選択届出書」を提出できる個人事業者となった場合をいいます。