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解約金のある保険を見直せば保険料の負担は軽くなる

 

解約金のある保険を見直せば保険料の負担は軽くなる

掛け捨て保険への切り替えで保険料を10分の1に抑えよう

 まず手をつけるのは、解約金のある保険の処遇です。
 解約金のある保険は、だいたい保険料が高く、それを止めることによって負担も減り、 かつ解約金もありますから、二重に役立ちます。保険の継続を考え契約者貸付を受け、一 時的に資金を調達することも可能ですが、貸付では保険料負担はそのままです。思い切っ て減額、もしくは解約してもいいと思います。
 しかし、ただ解約しただけでは、ただでさえ困難な状況の中、もしも社長に何かがあっ て保険金も出ないとなれば、それこそ一大事になりますので、同じ保障額で、保険料はう んと安い掛け捨ての定期保険に入りましょう。保険料が十分の一くらいになりますから、相当、その後が楽になります。本業の正念場 では高い保険料を回避し、掛け捨て保険でまかない、また業績が良くなってから将来の退 職金にも備えたタイプの商品に切り替えればよいと思います。
 ただ保険ですから、健康状態がネックになります。減額、解約はいつでもできますが、 新たに入るとなると健康診断を受けなおす必要があるので、もし病気があり、新たな契約 はむずかしい場合は、やめるにやめられません。
 その場合は、その解約金が貯まっている保険契約からは、契約者貸付を受け、資金調達 し、解約金はあまりないけれど、法人が負担している他の人が被保険者になっている契約 をどうするか検討しましょう。

 

借入金対策なら「定期」より「逓減定期」保険を選ぼう

借入金の保障なら必要額だけ保障する保険で十分
 借入金相当額の保障は、どうしても必要不可欠です。多くの場合、社長もさすがに不安 に駆られ、借入金相当額分の保障に加入しているようです。
 この場合、借り入れ金額が当初5000万円なら、5000万円の保険金で契約しています。保険期間はおおむね借入期間に合わせ、同年なら同年で設定しているでしょう。保険の種類は、掛け捨てタイプのはずです。
 さて、ぜひ確認していただきたいのは、保険の種類です。あなたの保険は、定期保険ですか?逓減定期保険ですか? 借入れ金は年々返済しますから、それに合わせ、保険金額が減額していくしくみの逓減定期保険にすべきです。
 なぜなら、どっちみちこの保険は掛け捨てです。貯蓄機能がある保険種類であれば、少々保険料が高くても、その高い金額がいずれは退 職金なりになるので、高くてもムダにはなりません。
 ところが、掛捨て保険の場合、高いだけ、ただ単に損です。あえて言うと、死亡する以外は損です(不謹慎でスミマセン)。借入れ金への保障として入っている保険契約は、ぜひ、合理的に必要額だけ保障する逓 減定期保険に切り替えて、保険料を安くしましょう。その安くなった保険料で、同じ保険でも将来の退職金にもなるタイプの保険を準備するなど工夫した方が、後々ずっと助かるはずです。
 また、現実的に非常に多く目にするのが、どう考えてもかけすぎのパターンです。掛け捨ての死んでなんぼの保険ばかりに次々と入っているのです。 まさか?と思われるでしょうが、念のためご自分の保険内容をチェックしてみてください。

 

義理で入るなら保険期聞が短いタイプに

保険会社によって月々払う保険料の差は意外に大きい
 かつては保険商品に会社による差があまりなく、あっても重箱の隅をほじくるような差で、比較も何もなかったのですが、昨今はまったく同じ商品で、保険料の差がかなりあります。
 特に掛け捨てタイプは差が大きく、喫煙の有無や健康診断の状態に応じて、より割安な保険料で引き受ける優良体系などができ、各社競争状態です。できれば、数社を比較して検討したほうが、希望の商品を選べます。
  先日、ある社長さんから、「セールスマンに義理があり、どうしても何かに入らないと いけないのだが、何が良いか」と、相談を受けました。客観的には義理があるとはあまり思えない状況で、むしろその社長さんの義理堅きに感服しましたが、オススメしたのは、次の2種類です。
 まず、どちらも保険期間は短いものにすること。次に5年か10年の短い定期保険の掛け捨てで、保険料を捨てる気で入るか、もしくは養老保険で貯蓄する気で入るか、おそらく 成績計上的には掛け捨ての方が喜ぶでしょうと話したら、では「掛け捨てで捨てます」とのことでした。保険期間を短くするのは、短いほうが長いものより途中解約したとき、解約金の払戻率が高いからです。義理も、契約して5年も継続すれば果たせます。
 何でもかんでも、数字だけで比較するのは好きではありませんし、つきあいというものも実際ありますから、商品だけで単純に比べられないこともあります。ただそのようなしがらみがない場合は、最近は保険料に差がありますから、比較する価値は十分にあります。

 

保険契約の後はコールセンターを賢く活用する

契約した後その契約のフォローはどうなるのか?
 あくまでも新規契約時の担当者は、営業の第一線の人であり、新規の商品内容にはくわしいものの、契約後の給付金請求などの事務にはくわしくないということがよくあります。
 保険会社の運営上も、営業と保険金や給付金の支払い事務の分野は分離していますから、仕方がないように思います。
 それぞれ分野、分野の専門に任せたほうが正確で間違いもないので、私は契約成立後の諸々は、新規契約時の担当者ではなく、直接保険会社のコールセンターなどに電話して聞きます。
 営業マンに給付金の手続きを頼んだ場合、その人がたまたま、手続きにくわしい人であればよいのですが、そうでないこともありますし、ひどい場合だと頼んだことをうっかり忘れられたりして、散々な目に会うこともあります。
 コールセンターはその点、給付金の手続きなどが専門の部署ですから、間違いが少ないのと、会話を録音したり、事務上の流れに沿って処理していますから、忘れられるというような最悪の事態にはなりません。ただコールセンターの場合、多くの人が経験するように、やたらと電話がつながらず待たされたり、あくまでも杓子定規な対応をされてしまいます。
 営業時間も決まっていますから、時間外だったり、融通のきく対応を望む場合は、営業マンに連絡するなど、時と場合に応じて使い分けましょう。しかし何と言っても、一番は優秀で誠実な人ですので、担当者がそうであれば、その方に頼むのが良いでしょう。
 これは新規の契約のときにも言えることです。最近は一社専属の営業マンだけではなく、乗合代理店で各社の商品を販売している営業マンもいますが、あれこれ比較して、自分(営業マン)にもっとも有利な商品を勧めるような人から、お客様主体の人までいます。お客様主体が当たり前なのですが、世の中そうばかりもいかない……、「結局は人です」。

 

後で損をしない「保険営業マン」「税理士」選びのススメ

商品が同じでも確認を1 「保険料・解約返戻金」は保険会社で違う
 同じ定期保険に加入する場合でも、保険会社により保険料や解約返戻率は異なります。また、年齢や性別、保険期間によっても有利な保険会社は異なります。たとえば、60歳男性で保険期間30年の定期保険の場合、A社の保険料が一番安い。しかし、50歳の女性で保 険期間20年になると、B社の保険料が安いということがよくあります。
 また、60歳男性で保険期間30年の定期保険の場合、保険料が一番安いのはA社だが、解約返戻率が一番高いのはB社というケースも。この場合、会社の借入金リスク対策のため保障優先で加入する場合、保険料が安いA社が有利になりますが、役員退職金原資の確保対策のため解約返戻金優先で加入する場合、解約返戻金が高いB社が有利になります。つまり、有利な保険会社を1社選ぶよりも、保険商品の種類、年齢や性別、保険期間、 加入目的により、ふさわしい保険商品を選ぶイメージになります。
 保険会社の営業マンに相談することは、決して悪いことではありません。保険のプロですから信頼して相談できるでしょう。しかし、車のディーラーが他社の車を売れないように、保険会社の営業マンもあくまで自分が所属する会社の商品の中でベストな提案をします。また、企業税務や相続のプロではありません。
 もちろん税務にも精通したすばらしい保険の営業マンを私も何人か知っていますが、残念ながらごく一部の方にとどまります。
「実情にあった保険提案書」でなければ絵に描いた餅になる!

 企業の財務内容や経営状況、個人の資産内容や家族構成をよく知らずに、保険の提案書を持ってくる営業マンがいますが、私に言わせれば問診や精密検査をしないで薬を処方する医者のようなものです。
 各企業により財務内容や経営状況が異なるのは当然として、経営者や後継者の年齢、事業承継の時期などを理解してから保険に加入するのは基本です。目先の対策となる法人税の「節税」だけでは、生命保険を有効に活用することはできません。個人の資産についても資産の種類や相続人の年齢、被相続人の意向を踏まえて対策を立てないと、相続税評価額は下がったものの、遺産分割で家族がもめてしまう。また、相続税の納税資金が不足してしまうことにもなりかねません。
税理士の腕次第で大きく変わる法人税や相続税
 一方で、税理士の側にも問題があるケースもあります。私は保険会社や金融機関の税務顧問を担当している関係で金融機関の方からご相談を受けることも多いのですが、その中で「顧問税理士がうんと言ってくれない」というケースがあります。
 よくよくお話を伺うと「何やら新しい商品のようだが内容が:::、良いも悪いも:::」。
 結局、最終的には商品の内容と税務メリットを理解していただくのですが、これでは頼りありません。
 会社やご子息の命運を左右する法人税や相続税の対策ですから、おつきあいや義理で加入すると失敗します。まずは、生命保険の商品や税務対策に詳しい税理士に相談することをオススメします。