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社会保険料を全額会社負担にするのは可能?会社が従業員・役員分負担

社会保険料は、会社と従業員や役員が半額ずつ負担することになっています。

しかし、何らかの事情がある場合に、従業員から天引き徴収せずに、会社が全額負担してあげることはできないのでしょうか。

福利厚生の一環として、会社が社会保険料を負担することにすると、計算の手間が省けたり、従業員の負担も減ることで満足度も上がるなどメリットがあるかもしれません。

そこで、ここでは、社会保険料を全額会社負担にするのは可能かどうかについて、くわしく見ていきたいと思います。

健康保険法・厚生年金保険法の規定は?

健康保険法と厚生年金保険法では、以下のように定められています。

第百六十一条 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料額の二分の一を負担する。ただし、任意継続被保険者は、その全額を負担する。
(健康保険法)

第八十二条 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。
(厚生年金保険法)

このように、社会保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料)というのあは、事業主と労働者で半分ずつ負担することが定められています。

このように定められていますが、例えば、この社会保険料分を福利厚生や給与として、会社が負担するというような考え方もあるかもしれません。

そのように、会社が社会保険料を全額負担することは可能なのでしょうか。

社会保険料を会社が全額負担する際の問題点は?

従業員や役員個人の分の社会保険料を、会社が負担し、全額会社負担にするとどうなるのでしょうか。

会社が個人の分の社会保険料を負担するということは、その分が給与や役員報酬として支給されることになります。

そうすると、その分、給与が上がってしまうため、社会保険料の額が上がってしまうことになります。

例えば、月給が25万円とします。

そうすると、社会保険料の個人負担分は、34,224円となりますが、この分を会社が負担するということは、結局、給与が28万4,224円ということになります。

給与が上がることで、社会保険料の等級が代わり、社会保険料の個人負担分は、39,928円となります。

そうすると、給与が324,152円となってしまいます。

そうすると、また、会社が負担する社会保険料が上がってしまい…ということを繰り返してしまいます。

社会保険料の等級が同じになるまで、これを延々と繰り返すことになってしまい、このほうがややこしくなってしまいますよね^^;

社会保険料を会社が全額負担するのは辞めておいた方が良い

このように、社会保険料の個人負担分を、会社が負担することは、健康保険法と厚生年金保険法に反することになってしまいます。

また、そのため、これを、給与として支給したところで、余計にややこしくなってしまうというのがわかったのではないでしょうか。

経理的な負担を減らすどころか、よくわからないことを延々と繰り返すことになってしまい、余計に複雑になってしまうだけです。

そのため、社会保険料を全額会社負担にするのは、辞めたおいた方が無難ではないでしょうか。