産休中の会社負担は?社会保険料や従業員の給与の支払い義務について
ひと昔前であれば、産休や育休というのは、取りづらいイメージでしたよね。
しかし、現在では、働き方改革の推進や柔軟な姿勢の会社が増え、産休や育休という言葉を目や耳にする機会が増えてきました。
女性に長く活躍してもらうことや、新しい会社の在り方や働き方を考えていくうえで、産休や育休のことを真剣に考える必要があるのではないでしょうか。
そうはいっても、会社規模などによっては、体制として難しかったり、会社の負担が心配だったりするかもしれません。
そこで、ここでは、産休に関して、会社負担はどの程度、発生するのかということについて、くわしく見ていきたいと思います。
目次
産休の期間と産休中の手当は?
それでは、従業員が産休を取得する場合、その期間がどれくらいなのか、手当については、いくらもらえるのかについて、見ていきたいと思います。
産休の期間は?
産休には、産前休業と産後休業があります。
産前休業は、本人の申請により、出産予定日の6週間前から取ることができます。
双子などの多胎妊娠の場合は、14週間前から取得可能です。
これに対して、産後休業に関しては、労働基準法では、産後8週間は働いてはいけないと定められています。
ただし、産後6週間が経過し、本人の希望があり、医師が支障ないと認められた場合には、働くことが可能となります。
また、妊娠中には、産婦人科などで妊産婦健診を受ける必要があります。
妊産婦健診のための休暇は、妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24週から35週までは2週間に1回、妊娠36週から出産までは1週間に1回取得できます。
産休手当はいくらもらえる?
産休手当の支給額の計算方法は、以下となります。
過去1年間に大幅な月収の変動がなければ、おおよそ給料の3分の2が支給されるということになります。
支給開始日の以前の期間が12ヶ月に満たない場合は、次のいずれか低い額を使用して計算します。
- 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
- 標準報酬月額の平均額30万円
なお、実際の出産が、出産予定日より遅れてしまった場合には、遅れた日数分も追加で支払われることとなります。
また、この期間には、社会保険料の支払いは免除されますが、将来もらえる年金受給は減額されません。
産休中の会社負担は?社会保険料・給与の支払いについて
労働者が産休期間に産休手当を受給するためには、社会保険に加入していることが条件となります。
社会保険に加入していれば、産休を取得した期間に、上記の手当が支給されることになります。
それでは、この間の会社側の負担はどうなるのでしょうか。
産休中の会社負担、従業員の給与は?
産休中には、会社は、給与を支給する必要はありません。
給与が出ない代わりに、健康保険から、産休手当が支給されることになっています。
妊婦検診のための休暇に関しても、給与を支払う必要はありません。
給与を支払う必要はありませんが、会社独自の制度として、給与を支払うことは可能です。
ただし、その場合には、産休手当よりも多い金額になる場合には、産休手当が受給できなくなってしまいます。
産休中の会社負担、社会保険料は?
産休中には、産前産後休業保険料免除制度というものがあります。
これにより、労働者負担分だけでなく、会社負担分の社会保険料も免除されます。
この社会保険料の免除のためには、産前産後休業取得届申出書という書類の提出が必要となります。
つまり、産休中には、給与や社会保険料の支払いなど、金銭的な会社の負担はないということになります。
産休中の会社負担、欠員の補充や業務の穴埋め
会社側の金銭的な負担はありませんが、産休期間の従業員の欠員補充や業務の穴埋めという負担が発生します。
この点が一番、頭を悩ませるところではないでしょうか。
産休を取得する従業員が、どのような業務に携わっていたのかによって、事情が異なるでしょう。
もし、復帰が前提なのであれば、パートやアルバイトで穴埋めをしたり、周りのスタッフなどの強力でカバーするのが良いかもしれません。
リモートや業務委託などで、部分的に外注して、乗り切るという方法もあるでしょう。
物理的な人員不足だと、なかなか難しい部分もあるかもしれませんが、試行錯誤することで、色々なことが見えてきて、良いきっかけになることもあります。
産休により、欠員が出て困るのであれば、それだけ会社に貢献してくれていた人材だったということになります。
そうであれば、しっかりと、産休・育休の権利を行使してもらい、気持ちよく職場復帰してもらえるようにするのが良いでしょう。
産休の取得には金銭的な会社負担はない!
産休というと、会社にイヤな顔をされるので、取得しづらいと思ってしまう人も多いかもしれません。
しかし、実際には、欠員の面以外では、会社の負担はありません。
また、法律で認められた制度なので、本来、会社にどうこう思われることもないはずなのです。
会社側も、そのことを正しく理解し、良い職場環境づくりを目指すことが望ましいのではないでしょうか。