退職証明書とは?在職証明書との違い・発行方法・無料テンプレート
退職証明書とは、会社を辞めたことを証明するための書類となります。
転職した際などに、転職先の会社などから提出を求められる書類となり、退職した従業員から、発行を請求された場合に発行します。
ただし、この退職証明書は、転職の際に、必ず必要となるわけではありません。
そのため、会社としては、退職者の請求に基づいて、発行することになります。
退職証明書に似た書類として、在職証明書や離職票というものもあり、少しややこしく感じる人もいらっしゃるかもしれません。
そこで、ここでは、退職証明書とは何なのかということについて、くわしく見ていきたいと思います。
在職証明書や離職票との違いについても、区別できるようにお伝えいたします。
目次
退職証明書とは?在職証明書や離職票との違いは?
それでは、退職した従業員から、発行を依頼されることのある退職証明書ですが、一体、どのようなものなのでしょうか。
退職証明書の発行が必要になる場合や、在職証明書や離職票との違いについて、くわしく見ていきたいと思います。
退職証明書とは?
退職証明書とは、退職したということを証明するための書類となり、複数の企業に所属していないことを証明するために用いられます。
転職の際などに、必要となる場合があるのですが、必ずしも、提出が求められるわけではありません。
しかし、退職者から、退職証明書を発行するように依頼された場合には、会社側は、必ず発行する義務があります。
このことは、以下のように、労働基準法に定められています。
労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
「労働基準法第22条1項」
そして、これに違反した場合には、30万円以下の罰金が科されることとなっています。
ですので、退職者から、請求された場合には、遅滞なく発行できるように、退職証明書の記載内容や発行方法を正しく理解しておく必要があります。
退職証明書の発行が必要な場合は?
それでは、退職者は、退職証明書をどのような場合に、提出する必要があるのでしょうか。
- 転職先で提出を求められたとき
- 国民健康保険・国民年金の加入手続きのとき
- 雇用保険の失業給付の手続きのとき
上記のような場合となります。
それぞれについて、くわしく見ていきたいと思います。
転職先で提出を求められたとき
退職証明書というのは、退職しているかどうかを確認するための書類です。
しかし、転職後には、雇用保険や社会保険に加入し直すことになります。
新しい会社で、雇用保険や社会保険の加入手続きを行う際に、前の会社での資格が喪失されているかどうかというのは確認できるはずです。
ですので、わざわざ、退職証明書を確認しなくても良いはずなのです。
それでは、なぜ、転職の際に、退職証明書の提出が必要になるのでしょうか。
それは、履歴書や職務経歴書などの書類は、自己申告に過ぎないので、本人の提出した書類の内容が正しいのかどうかを判断するために使用するためです。
そうはいっても、退職証明書の提出を求める会社というのは、あまり多くありません。
銀行や金融機関へ転職する場合や、過去に従業員と採用でのトラブルがあったために、そのような方針を取っている会社の場合以外には、ほとんどないかと思われます。
ただし、公務員の場合には、退職証明書が必要となる場合も多いようです。
それは、民間企業での勤務年数などが条件となる場合や、公務員は雇用保険には加入しないので、雇用保険の加入手続きの段階では、資格の喪失が確認できないためです。
国民健康保険・国民年金の加入手続きのとき
国民健康保険や国民年金に加入する際には、離職票を提出します。
ただし、離職票は、会社からハローワークに申請し、その後、会社へと郵送され、会社から退職者の元へ郵送されてくるという流れになります。
そのため、手元に届くまで、ある程度の日数が必要となります。
国民健康保険や国民年金への加入手続きを早く行う必要がある場合には、離職票の代わりとして退職証明書を使用することが可能です。
退職証明書は、会社ですぐに発行することが可能なので、このような使い方をする場合もあります。
雇用保険の失業給付の手続きのとき
雇用保険の失業給付の手続きのときも、上記と同様です。
離職票が手元に届くまでに、失業給付の受給手続きを行いたいという場合には、退職証明書を用いて手続きを行うことが可能です。
退職後、すぐに、新たな会社で働くわけではなく、失業給付を受給しながら転職活動を行う場合などは、1日でも早く失業給付の手続きに行ける方が良いですよね。
退職証明書と在職証明書の違いは?
在職証明書とは、会社に在職している(いた)ことを証明する書類となり、保育園への入園手続きの際などに提出を求められることが多いです。
在職証明書と退職証明書は、記載内容に共通点も多く、非常に似た書類となります。
ただし、在職証明書には、法的な発行の義務がないという違いがあります。
退職証明書と離職票の違いは?
退職証明書は、離職票の代わりに用いることができると述べました。
そのため、退職証明書と離職票は、同じようなものではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、退職証明書は、会社が発行するものであり、離職票は、会社が手続きを行い、ハローワークが発行する公的な書類です。
そのため、2つの書類では、発行元が異なります。
また、退職証明書は、退職したことを証明するものであり、離職票は手続きを行うためのものであるという違いがあります。
退職証明書の記載事項は?無料テンプレート
それでは、退職者から発行を要求された場合には、会社には発行する義務のある退職証明書ですが、どのような内容を記載すれば良いのでしょうか。
退職証明書の記載事項は?
退職証明書には、決められた書式やフォーマットというものはありません。
しかし、基本的には、以下の項目について記載することになっています。
- 氏名
- 退職年月日
- 使用期間
- 業務の種類
- その事業における地位
- 離職以前の賃金
- 退職の事由
- 会社名・代表者名
上記の記載事項のうち、記入の際に注意すべき個所がある項目を以下にて見ていきたいと思います。
3.使用期間
使用期間は、退職者が勤務していた期間を記載することになります。
ただし、この使用期間に、入社当初の試用期間が含まれるかどうかは、会社によって異なります。
そのため、退職者ごとに、対応が異なってしまわないように、含むか含まないのかを統一しておきましょう。
4.業務の種類
提出先において、退職者がどのような業務に携わっていたのかがわかる必要があります。
そのため、業務の種類については、ある程度、具体的にくわしく記入しましょう。
5.その事業における地位
こちらも上記同様に、どのような役職に付いていたのかが、請求先にわかるように記載することが望ましいです。
6.離職以前の賃金
離職以前の賃金には、直近の賃金を総支給額で記載します。
これは、離職票の代わりに、失業給付の手続きに使用する可能性があるためです。
7.退職の事由
提出先が、転職先である場合には、退職の事由は、もっとも知りたい項目となります。
そのため、具体的にわかるように記載することが望ましいでしょう。
退職証明書の無料テンプレート
退職証明書は上記の記載事項が含まれていれば、書式はどのようなものでも問題ありません。
ただし、従業員から請求される度に、作成しているのでは、効率が良くありません。
そのため、一つのフォーマット・テンプレートを会社として、使用するのが良いのではないでしょうか。
こちらの無料テンプレートをダウンロードして、編集して使用すると、手間が省け、効率的に退職証明書の発行が行えます。
退職証明書発行の際の注意事項
退職証明書を請求され、発行することになった際には、以下の点に注意が必要です。
- 発行は法律で義務となっている
- 退職者が希望しない項目は記載しない
- 退職事由の記載内容について
それぞれについて、くわしく見ていきたいと思います。
発行は法律で義務となっている
会社にとっては、退職した従業員に対して、何かをすることが気乗りではない場合もあるかもしれません。
しかし、法律上、退職証明書の発行は義務となっています。
退職者の請求に応じて、発行するようにしましょう。
退職者が希望しない項目は記載しない
使用期間・業務の種類・その事業における地位・賃金・退職の事由は、必須項目となっていますが、退職者が希望しない場合には、記載することは禁止されています。
そのため、退職者が希望しない項目は、記載しないようにしましょう。
退職事由の記載内容について
離職票の代わりに使用する場合には、自己都合退職と会社都合退職では、失業給付の受給額や期間が異なります。
そのため、退職事由については、確実に誤りのないような記載が必要となります。
退職証明書の発行は速やかに行いましょう!
退職者にとって、退職証明書が必要となる場合は、すぐに手に入れたいことが多いでしょう。
そのため、請求に応じて、すぐに発行してあげることが望ましいです。
そのため、どのような内容でどうやって、発行するのかを、正しく理解しておくことが重要です。
また、退職後、時間が経ってから請求されることがあるかもしれません。
しかし、退職証明書は、退職後2年間は発行義務がありますので、期間内の場合には、面倒くさがらずに発行してあげましょう。