年間休日の最低日数は105日?労働基準法を下回る場合の対処方法は
仕事や会社を選ぶ際には、仕事内容・勤務地・給与などを考慮します。
しかし、それ以外にも、年間休日数というのは、重要な要素となりますよね。
いくら、他の要素が満たされていても、年間休日数が少なければ、長く働いていくことが困難になる可能性もあります。
それでは、年間休日は、何日あれば、休みが多い会社となるのでしょうか。
また、法律では、年間休日の最低日数はどのように定められているのでしょうか。
そこで、ここでは、年間休日の最低日数は何日なのかということについて、くわしく見ていきたいと思います。
目次
労働基準法による、年間休日の最低日数は?
労働基準法では、年間休日数はどのように定められているのかを見ていく前に、まずは、休日の定義について、見ていきたいと思います。
休日と休暇の違いとは?
日常生活において、休日と休暇という言葉は、同じ意味で使うことが一般的かと思います。
しかし、労働基準法においては、休日と休暇というのは、異なるものを指しています。
使用者である会社には、労働者に一定日数の休日を与える義務があります。
そして、労働基準法においては、毎週1日、または、4週間を通じて4日間以上の休日を設けるように定められています。
これは、法定休日と呼ばれるもので、最低限の休日となります。
一般的には、この法定休日に加え、会社独自の法定外休日が設けられています。
これに対して、休暇というのは、本来働かなければならない日の中において、労働を免除される日を指します。
そして、この休暇というのは、さらに、法定休暇と特別休暇に分けられます。
法定休暇とは?
法定休暇とは、法令が根拠となっている休暇のことです。
法定休暇の例としては、以下のようなものがあります。
- 年次有給休暇
- 生理休暇
- 産前産後休暇
- 育児休暇
- 介護休暇
- 子の看護休暇
この中で、年次有給休暇は法定休暇であり、名前の通り、給与の支給義務が発生する休暇です。
しかし、育児休暇、介護休暇などは、労働基準法に定められていますが、会社が給与を支給する義務があると定められているわけではありません。
特別休暇とは?
特別休暇とは、就業規則により会社が独自に定めるものです。
特別休暇には以下のようなものがあります。
- リフレッシュ休暇
- バースデー休暇
- アニバーサリー休暇
- 慶弔休暇
- 病気休暇
- ボランティア休暇
これら以外にも、独自のユニークなものを定めている会社もあります。
特別休暇を定めることは、従業員のモチベーションを上げることや会社のイメージを上げることが目的とされています。
ユニークな休暇制度や休日数が多いことは、従業員の採用に大きく影響します。
年間休日の最低日数は105日?
休日と休暇の違いは、上記のようになります。
それでは、労働基準法では、年間休日の最低日数というのは、どのように定められているのでしょうか。
労働基準法では、休日の最低基準について、毎週1日、または、4週間を通じて4日間と定めています。
1年には約52週間あります。
また、1週間の労働時間の上限は40時間と定められているので、1年の労働時間は2,080時間が上限となります。
そして、1日の労働時間が8時間の場合は、260日が労働日数の上限となります。
そうすると、365日から260日を引いた105日が、年間休日数の最低基準となります。
年間休日が105日以下の会社もある?
しかし、ハローワークの求人票やネット上の正社員の募集要項などで、年間休日数が、105日以下の会社を見たことがあるという人もいるかもしれません。
105日を下回っている場合でも、必ずしも、労働基準法違反となるわけではありません。
105日が下限となるののは、1日の労働時間を8時間とした場合です。
もし、1日の労働時間が7時間の場合は、67日が年間休日の最低基準となります。
年間休日が67日だったとしても、違法ではありませんが、休日数がかなり少なく感じてしまいますよね^^;
平均的な年間休日数は120日?
会社で働く人の平均的な年間休日数は120日程度となります。
これは、土日祝日が休みであり、さらに、お盆・年末年始を加えると、合計で120日前後の休日になるためです。
ですので、自分自身の会社の年間休日数が多いか少ないかというのは、120日を基準に考えてみると良いのではないでしょうか。
年間休日が少ない場合の対処方法は?
年間休日数が少ないといった場合には、必ずしもではありませんが、残業代などが、適切に支払われていない可能性が考えられます。
まず、前提として、従業員を休日に働かせる場合には、36協定というものを締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。
もし、この36協定を結ばずに休日労働させた場合であったり、週に1日の休み、もしくは、4週に4日の休みを与えなかった場合は、違法となります。
この場合には、使用者は、6ヶ月以上の懲役、または、30万円以下の罰金が科されます。
そして、休日の出勤に関しては、残業代や割増賃金を請求することが可能です。
法定休日に出勤をした場合には、1.35倍の割増率が適用されます。
また、会社が法定休日の外に休日として定めている休日に出勤した場合には、通常の時間外労働と同じく1.25倍の割増率が適用されます。
さらに、午後10時から午前5時までの深夜労働の場合には1.25倍の割増賃金が適用されます。
もし、自分自身の会社での休日出勤に対して、上記の割増賃金が加算されていない場合には、以下の対処方法を考えることをお勧めします。
- 労働基準監督署へ相談する
- 未払賃金を請求する
- 年間休日数の多い業界へ転職する
それぞれについて、くわしく見ていきたいと思います。
労働基準監督署へ相談する
会社内で割増賃金が支払われていないことを訴えたとしても、逆に減給、降格、パワハラなどといったことをされてしまう可能性があります。
ですので、そのようにならないためにも、正当な判断を行ってくれる機関である労働基準監督署へ相談するのが良いでしょう。
客観的な事実があり、労働基準監督署からの指導があった場合には、会社側は改善せざるを得ません。
未払賃金を請求する
これまでに、不当に働かされた分の未払い賃金は、必ず支払ってもらうべきです。
会社側に非がある場合には、確実に、請求し支払ってもらうことが可能です。
状況によって異なりますが、以下のようなものが証拠となります。
- 雇用契約書
- 給与明細
- タイムカード、出勤簿
- 休日出勤の指示
- 業務日報
- パソコンのログイン記録
不安な場合には、弁護士に相談するのが良いでしょう。
年間休日数の多い業界へ転職する
年間休日数が多い業界と少ない業界というのが存在します。
土日や祝日などが関係のない業界だと、年間休日数が少なくなりやすい傾向にあります。
また、企業の規模が大きくなればなるほど、年間休日数は多くなる傾向にあります。
以下の業界が年間休日数が少ないとされています。
- 建設業界
- サービス業界
- 医療・介護業界
出来る限り、年間休日数が多い業界や会社へと転職するというのも一つの対処方法となります。
仕事選びには年間休日数も重要!
自分にできることや向いていることなど、仕事内容で、就職を考えてしまう人も多いかと思います。
それは、決して、悪いことではありません。
しかし、長く、気持ちよく働いていくことを考えると、労働環境というのは非常に重要です。
そのため、年間休日数に関しても、しっかりと確認したうえで、良い職場探しを考えるのが良いでしょう。