人事異動拒否は正当な理由がないとできない?転勤の交渉をうまく行う
ある程度の規模がある会社に勤務していると、人事異動を言い渡される場合があります。
会社に勤務している人にとっては、人事異動の時期が近づく度に不安になることも少なくないでしょう。
人事異動や転勤が行われる背景には何かしらの理由はありますが、突然の内示や辞令を言い渡されて、納得できないこともありますよね(^^;
しかし、突然の内示や辞令を言い渡された場合は、原則として、拒否することはできません。
ただし、正当な理由があると認められる場合には、人事異動や転勤を拒否することが可能になることもあります。
ここでは、人事異動を拒否するための正当な理由について触れつつ、転勤の交渉をうまく行うための方法について、詳しく解説していきたいと思います。
目次
人事異動拒否は正当な理由がないとできない?
人事異動や転勤などで、会社から内示や辞令を言い渡されたことに対して、原則としては、その内示や辞令を拒否することはできません。
会社が人事異動や転勤を言い渡す理由としては、以下のような理由があります。
- 会社全体のパフォーマンスを上げるため
- 適材適所を意識した人員配置を行うため
- 社内での社員同士の交流や結束力を深めるため
- 昇格・昇進または降格・降任を目的としているため
たいていの場合は、会社の職場環境や組織内部の充実・改善を図ることを目的として、人事異動が言い渡されます。
辞令とは異なり、内示の段階では人事異動について異議申し立てを行うことができますが、「正当な理由がある」と認められない場合には、原則として、その申し立てが受け入れられることはないでしょう。
そのため、労働時間や通勤時間が長くなる、家族の送迎ができなくなるなど、私的な理由から異議申し立てを行っても当然受け入れられないので注意しましょう。
また、辞令が出されたのにも関わらず、正当な理由もなく人事異動を拒否した場合には、業務命令違反だと判断されて、懲戒対象になる可能性があります。
懲戒で減給や降格、会社によっては懲戒解雇など厳しい処分が科されることもあるので、正当な理由がないと判断できる場合には、人事異動に従った方がリスクを避けることができます。
人事異動拒否のための転勤の交渉をうまく行うには?
人事異動拒否のための転勤の交渉をうまく行うには、人事異動を拒否することで発生するリスクや、人事異動を拒否できる正当な理由について、理解した上で対応する必要があります。
ここでは、その2点について、詳しく解説していきたいと思います。
人事異動拒否することで発生するリスクとは?
①昇進が難しくなる可能性がある
人事異動を拒否した場合には、昇格・昇進が難しくなるというリスクがあります。
理由としては、会社の方針に従うことができないと見なされるため、これから先もその考えが続くと認識されることがあるからです。
そのため、人事異動を拒否することによって、今後昇進が難しくなる可能性があるということは頭に入れておきましょう。
②降格されたり退職を促される可能性がある
上記のように、昇進ができなくなるリスクもあるほか、降格をされたり、退職を促されるリスクも考える必要があります。
そもそもとして、「会社の方針に従えないのであれば、これ以上は会社に置いておくわけにはいかない」という認識に至る可能性もゼロではありません。
そのため、人事異動を拒否することによって、降格をされたり、退職を促される可能性があるということも頭に入れておきましょう。
人事異動を拒否できる正当な理由とは?
人事異動が言い渡された際に、下記のような正当な理由があると認められれば、人事異動を拒否できる場合があります。
①入社前の雇用契約書と異なる場合
入社前の雇用契約書で交わした内容と異なる場合、人事異動を拒否することができます。
例えば、雇用契約書では、指定された地域内での勤務地で働くことを前提として入社しているにも関わらず、その地域以外の勤務地への人事異動を言い渡された場合には、雇用条件に違反していることになります。
そのため、会社側に正当な理由がない場合には、人事異動を拒否することが可能になります。
②会社の就業規則を理由に断る場合
会社の就業規則には、転勤の必要が生じる業務内容であることを明記しておくのが原則です。
そのため、会社の就業規則に転勤の旨について記載がないのに、人事異動を言い渡された場合には、その申し出を拒否することが可能になります。
また、就業規則に転勤についての記載がある場合でも、転勤命令が不当なものであれば無効とすることが可能です。
③会社側に権利の濫用がある場合
会社側には人事異動をする権利がありますが、正当な理由もなく、あからさまに降格したり、本人にとって不本意である勤務地への異動を命じることを「報復人事」といいます。
このように、会社の権利を悪用し、嫌がらせを目的として命じられた人事異動の場合には、目的が不当であるため、拒否することが可能になります。
しかし、嫌がらせを目的として命じられた人事異動の場合には、会社側が様々な理由を作ることができてしまうため、公言されていない限りは拒否するのが難しいのが現状です。
④従業員に多大な不利益を与える事情がある場合
人事異動を命じたことによって、従業員に多大な不利益を与える事情がある場合には、以下のようなものがあります。
- 親の介護をしなければならない
- 家族が特殊な病気で特定の病院でしか治療できない
- 家族とともに転勤することが難しい事情がある
- 家族を残して転勤することが難しい事情がある
上記のような事情がある場合には、一度、上司に相談してみることをおすすめします。
相談したことによって、正当な理由であると認められた場合には、人事異動に関して配慮してもらえる可能性が高くなります。
家族に持病がある場合には診断書を準備するなど、正当な理由があることを証明するためのものを準備した上で説明すると、なお良いかもしれません。
また、従業員の賃金を理由なく引き下げられるなどの不利益を与えられる場合にも、人事異動を拒否することが可能になります。
基本的には人事異動は拒否できないことを頭に入れておこう
基本的に、会社から人事異動を命じられた場合には、従業員は拒否することはできません。
そのため、人事異動を拒否したいと考えている場合には、拒否した場合に生じるリスクも理解した上で慎重に行動することが重要です。
また、人事異動を拒否する理由が「正当な理由である」と認められた場合には、人事異動に関して配慮してもらえる可能性が高くなります。
上記を参考に、人事異動を拒否したい理由が正当であるかどうかを見極めて、当てはまる場合には上司に相談してみましょう(^^♪