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個人年金保険の受取時にかかる税金は?所得税で損をしない方法とは

老後の資金準備のために、個人年金保険に加入している人も多いと思います。

個人年金保険は国民年金や厚生年金などの国の公的年金とは異なり、保険会社が取り扱っている私的年金の一つです。

私的年金を受け取る際には、必ず税金がかかります

しかし、個人年金保険を受け取る時にかかる税金がどのようなものであるのか、わからない人も多いですよね(^^;

実は、個人年金保険の受取時にかかる税金は、契約者と受取人の関係によって課税される税金が異なるのが特徴です。

ここでは、個人年金保険の受取時にかかる税金について触れつつ、所得税で損をしないための方法や税金対策について、詳しく見ていきたいと思います。

個人年金保険の受取時にかかる税金とは?

私的年金は、支払った保険料のうちから積み立てた資金を原資として、契約時に設定した年齢から年金を受給できる仕組みになります。

個人年金保険も私的年金になりますから、年金を受け取る時には税金が課税されます。

個人年金保険を受け取る時にかかる税金には、「所得税」と「贈与税」があります。

どちらの税金が課せられるのかは、年金の受け取り方によって異なります

年金の受け取り方について、下記の表を参考に詳しく見ていきましょう。

契約者被保険者年金受取人課税される税金
契約者と受取人が同一である場合には、
所得税が課税される
契約者と受取人が異なる場合には、
贈与税所得税が課税される

課税される税金は、保険契約者と年金受取人の関係性によって変わります。

まず、保険契約者と年金受取人が同じである場合には、受け取る年金に対して、所得税が課税されます。

保険契約者と年金受取人が異なる場合には、受け取る年金に対して、年金支給開始時点(初年度)では贈与税、2年目以降からは所得税が課税されます。

保険契約者と年金受取人が異なるということは、保険契約者から年金受取人に対して、年金を受け取る権利を贈与したものとみなされます。

そのため、年金の支給が開始された時点で贈与税が課税されるわけですね。

このように、保険契約者と年金受取人の関係性によって、年金を受け取る時にかかる税金が変わってしまうのが痛いところかもしれません。

保険契約者と年金受取人が異なる場合には、所得税だけではなく贈与税も課税されることになるので、結果として、支払う税金が多くなってしまいます。

この仕組みを知らないままに、保険契約者と年金受取人を別々にしてしまった、なんてことにならないように、税金についても事前にしっかりと把握しておくことが重要です。

所得税で損をしないためには?税金対策をご紹介!

所得税と贈与税について詳しく解説!

所得税①:雑所得とは?

雑所得とは、年金の受け取り方が毎年の受け取りである場合に課せられる所得税のことをいいます。

そのため、保険契約者と年金受取人が異なる場合に、2年目以降にかかる所得税もこの雑所得になります。

雑所得がいくらになるのかは、下記の計算式に当てはめることによって求めることができます。

雑所得額=その年の総収入額(1年間の年金額)-必要経費
※必要経費=総収入額×(払込保険料総額÷年金受給総額)

また、上記の計算式に当てはめて、雑所得額を算出したとしても、所得控除を受けることができるのであれば、雑所得額から控除額を差し引いた額が実際にかかる所得税となります。

所得税②:一時所得とは?

一時所得とは、年金の受け取り方が一括での受け取りである場合に課せられる所得税のことをいいます。

一時所得がいくらになるのかは、下記の計算式に当てはめることによって求めることができます。

一時所得額={ 年金受給総額-払込保険料総額-50万円(特別控除)} ÷2

一時所得額についても、所得控除を受けることができるのであれば、一時所得額から控除額を差し引いた額が実際にかかる所得税となります。

年金を一括で受給する際には、必要経費(払込保険料総額)と特別控除の差し引きがあるため、所得控除の金額の範囲内に収まることが多いといえるでしょう。

贈与税とは?

贈与税は、所得税と比べて非常に高額になってしまうのが特徴です。

贈与税が高額になってしまうのは、所得税とは異なり、贈与税には必要経費として今までの払込保険料総額が差し引かれないため、その分の税金が課税されてしまうことが原因です。

贈与税がいくらになるのかは、下記の計算式に当てはめることによって求めることができます。

贈与税額={年金受給評価額-110万円(基礎控除額)}×贈与税の税率

年金受給評価額とは、「個人年金保険の解約返戻金の額」、「年金受給総額」、「予定利率等」をそれぞれ計算して算出したものの中から、最も大きい金額となるものを指します。

贈与税の税率については、基礎控除後の課税対象額によって異なります。

具体的な税率は下記の表にまとめてありますので、計算する際にご活用ください。

基礎控除後の課税対象額税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1000万円以下40%125万円
1500万円以下45%175万円
3000万円以下50%250万円
3000万円超55%400万円

また、上述した通り、贈与税がかかるのは保険契約者と年金受取人が異なる場合となります。

税金が余分にかかることを踏まえると、特別な事情がない限りは、個人年金保険の契約者と受取人は同じにすることをおすすめします。

所得税で損をしないための方法とは?税金対策をご紹介!

税金対策①:所得控除を利用する

年金を受け取る場合には所得税が課税されますが、所得控除を利用することで負担を軽減することができます。

所得控除が適用される要件は、以下の通りです。

  • 個人年金保険を受給している間に、定年後雇用などで給与を取得していた場合には、所得金額が20万円以下であれば所得税は課税されない
  • 個人年金保険を受給している間に、給与所得がない場合には、所得金額が38万円以下であれば所得税は課税されない

実際には、所得控除のおかげで所得税がかからないという方も多くいます。

しかし、各要件について、所得金額が20万円以上、もしくは、38万円以上であった場合には、確定申告を行う必要があります。

控除条件に該当しない場合には、税金をしっかりと納めなければならないので、忘れずに申告するようにしましょう。

税金対策②:年金受取人を変更する

贈与税の存在に気付かずに、保険契約者と年金受取人を別にしてしまったという方は、後からでも年金受取人を変更することが可能です。

ただし、年金受取人の変更を行ったとしても、変更前(契約者から年金受給権を贈与されていた期間)の贈与税は課税されるので注意が必要です。

変更後は、保険契約者と年金受取人が同じ人となるため、所得税のみの課税となります。

こういった面があるからこそ、個人年金保険に加入する場合には、最初から契約人と年金受取人を同じにしておくことを勧められているわけですね。

変更前の期間が短ければ短いほど、贈与税の金額を抑えることができるので、少しでも節税したい方は早めに変更手続きを行うことをおすすめします。

中途解約時にも税金が課税されるので注意が必要

年金を受け取る時には、所得税もしくは所得税と贈与税の両方が課税されます。

保険契約者と年金受取人が同じでない場合には、高い税金である贈与税を支払わなければならなくなるため、特別な事情がない限りは、同じにすることをおすすめします。

今から個人年金保険に加入しようと検討している方は、税金面などにも焦点を当てて、損をすることがないようにしたいですね(^^♪

また、個人年金保険を途中で解約する際にも、解約返戻金に所得税(一時所得)が課税されるので、その点にも注意するようにしましょう。