国民年金基金のデメリットは?脱退不可能だが加入のメリットはあるか
国民年金基金は、自営業やフリーランスの人たちからすれば、将来の年金受給額を増やすことができる貴重な制度の1つとなります。
しかし、一度加入すると脱退が不可能であるほか、付加年金に加入できないなど、注意する点も多い制度でもあります。
そう考えるとデメリットが多いように思いますが、メリットはあるのでしょうか(^^;
将来の年金受給額を増やすための制度は他にもあるため、国民年金基金の加入条件やデメリットなどを吟味した上で、他の個人年金や私的年金と比較検討して決める必要があります。
ここでは、国民年金基金のメリットとデメリットについて、詳しく見ていきたいと思います。
目次
国民年金基金はデメリットが大きい?脱退不可能?
国民年金基金には、メリットもありますが、デメリットも大きい制度といえるかもしれません。
そもそもとして、国民年金基金に加入できるのは国民年金の第1号被保険者であるため、自営業やフリーランスとして働く人を対象としています。
しかし、学生納付特例などの免除制度を受けている場合には加入することができないなど、国民年金基金の加入条件も厳しいものであるといえます。
その厳しい条件をくぐり抜けて加入することができたとしても、一度加入すると、自分の都合で任意に脱退したり中途解約することはできません。
また、他の個人年金や私的年金と併用することができるものはありますが、付加年金に加入することはできないため、注意が必要です。
このように、国民年金基金にもメリットやデメリットがあるため、それらをしっかりと理解した上で、加入するかどうかを考えるようにしましょう。
国民年金基金のデメリットとは?メリットはあるのか
国民年金基金のメリットとは?
国民年金基金のメリットは、以下の通りです。
- 加入時に年金額が確定しているため、老後の年金受給額を増やすことができる
- 所得税や住民税など、税制面での優遇を受けることができる
- 終身型・確定型給付を選択できる
- 掛金の増額または減額ができる
国民年金基金の最大のメリットは、掛金にかかる社会保険料はすべて控除される点です。
課税対象となる所得金額によって税率は変わりますが、所得税や住民税を節税することができます。
また、掛金に対してだけではなく、年金・遺族一時金として受け取る際にも公的年金等控除が適用されます。
遺族一時金を受け取る際には非課税にもなるため、税制面での優遇は手厚いといえます。
国民年金基金のデメリット①:加入後は原則として、途中で脱退することはできない
国民年金基金は、一度加入すると自分の都合で任意に脱退・中途解約することはできません。
しかし、厚生年金に加入することになった場合や、国民年金の免除(全部または一部免除・学生納付特例・納付猶予)制度を受けていた場合など、加入資格を喪失した場合には脱退しなければなりません。
そのため、原則として、国民年金を脱退・中途解約するのは加入資格を喪失した場合以外はできないと理解しておきましょう。
国民年金基金のデメリット②:掛金を途中で引き出すことはできない
国民年金基金の掛金は、性別と年齢によって金額は決まっているものの、自分の所得に応じたプランを選ぶことができます。
しかし、掛金として支払ったお金はすべて60歳以降もしくは65歳以降に年金受給額に反映されるため、途中で引き出すことはできません。
それは、加入資格を喪失して脱退した後も同様です。
年金受給額に反映されると考えるとメリットはあるといえますが、65歳までに加入者本人が亡くなってしまった場合には、受け取ることができません。
ただ、経済的に厳しくなった場合には、加入後も掛金を増額または減額することは可能です。
また、減額しても掛金の支払いが厳しい場合には一時中断することも可能なだけでなく、2年以内であれば追納することも可能なので、その点は安心してください。
国民年金基金のデメリット③:付加年金に加入することができない
付加年金とは、国民年金の第1号被保険者が加入できる制度です。
毎月400円の追加保険料を納めることで、付加年金納付期間に応じた年金が、国民年金に上乗せされて、65歳以降に支給されます。
2年間で元が取れるものなので、少額から手軽に老後資金を形成したい場合におすすめの制度であるといえます。
しかし、国民年金基金と同時に加入することはできないため、付加年金と国民年金基金、それぞれの制度を理解した上で選択するようにしましょう。
国民年金基金のデメリット④:インフレに対応することができない
国民年金基金は、将来に受け取る年金額が決まっています。
それはメリットともいえますが、社会の経済状況が過剰なインフレになったとしても、支給される年金額に変動はありません。
インフレの影響で物価が高くなったことにより、紙幣価値が下がったとしても支給額が増えることはないため、注意が必要です。
国民年金基金のデメリット⑤:予定利率が低い
国民年金基金は、加入時の予定利率で将来の受給額が決まる仕組みです。
1995年までは予定利率が5.5%でしたが、運用環境の悪化・金利低下の影響で数年ごとに引き下げられ、現在では予定利率が1.5%となっています。
この予定利率は財政状況が回復しても変更されないため、注意しましょう。
国民年金基金をうまく活用するには?
国民年金基金に加入する理由として多いのは、やはり節税対策のためといえるでしょう。
しかし、一度加入すると脱退または中途解約ができないほか、積み立てた掛金も途中で受け取ることはできないなどのデメリットが多い面もあります。
そのため、節税効果と手元に残しておく資金のバランスを考えて加入する必要があります。
また、うまく活用するコツとして、iDecoや小規模企業共済、個人年金保険などの他の年金制度を併用するのも一つの手段といえます。
老後に向けて、現在の経済状況から積み立てられる金額なども考えながら、自分に合った年金制度を選ぶようにしましょう(^^♪