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厚生年金の受給額の計算方法・計算式を解説!受給額はいくらもらえる

公務員や会社員として働いている場合に、毎月給与から引かれているのが厚生年金ですよね。

厚生年金は会社と折半で支払われているとは言っても、毎月の支払額を見ていると、「高いな」と感じる人も多いのではないでしょうか。

厚生年金や国民年金などの年金制度があっても、将来の年金を約束するものではないのが事実としてあるのが現状です。

そのため、しっかりと保険料を納めていても、「ちゃんと支払われるのだろうか」「将来の受給額はいくらになるか計算方法は?」と不安に思ってしまうこともありますよね。

そこで、今回は、厚生年金の場合に焦点を当てて、受給額がいくらもらえるのか、実際の計算式や計算方法などについてご紹介します。

また、国民年金と厚生年金の違いや、どちらが多くもらえるのかなどについても、詳しく見ていきましょう。

国民年金と厚生年金は違う?どちらが多くもらえるの?

国民年金と厚生年金には、明確な違いがあります。

まず、国民年金(基礎年金)とは、国民全員が加入する義務がある年金制度であり、自営業はもちろん、学生や専業主婦、無職の方も加入するものとなります。

国民年金に加入している方が老後にもらえる年金のことを老齢基礎年金といいます。

一方、厚生年金とは、公務員や会社員などが加入する年金制度であるため、国民年金に上乗せされた保険料が給与から天引きされていることになります。

厚生年金に加入している方が老後にもらえる年金のことを老齢厚生年金といいます。

公務員や会社員などの職業に就いている人は、国民年金および厚生年金を合わせた保険料を支払っているため、国民年金のみに加入している人に比べると、両方に加入している方が受給額は多くもらえます

つまり、厚生年金に加入していた期間が長くなればなるほど、保険料を多く支払っていることになるため、受給額が増えていく、という仕組みだということですね。

また、あくまでも受給額の目安としてご紹介しておくと、国民年金に加入している場合の受給月額は約5万円、国民年金と厚生年金の両方に加入している場合の受給月額は約14万円となっています。

こうやって見ると、やはり両方に加入している場合の受給月額の方が多くなっていることが一目瞭然ですね。

しかし、厚生年金の受給額を算出する計算式は、国民年金の受給額の計算式に比べて複雑なものになるため、結構難しいのが現状です。

では、具体的な計算式や計算方法について、詳しく見ていきたいと思います。

厚生年金の受給額の計算式・計算方法を詳しく解説!

厚生年金の受給額を算出する前に押さえておきたいこと

厚生年金の計算式をさらに複雑にしているのが、平成15年4月に行われた「総報酬制の導入」です。

つまり、平成15年3月までは賞与(ボーナス)を除いた月給のみで平均給与を算出していたのに対して、平成15年4月以降からは賞与(ボーナス)を含めた年収÷12で算出することになったのです。

平成15年4月をまたいで加入期間のある人は、年金を算出する計算式が変更されているため、それぞれの加入期間で分けて計算する必要があるので、注意してください。

厚生年金の受給額の計算式について

厚生年金の受給額の計算式は、以下の通りです。

厚生年金の受給額=①報酬比例年金額+②経過的加算+③加給年金額

それぞれの計算式について、解説していきます。

① 報酬比例年金額

報酬比例年金額とは、厚生年金の受給額の計算の基準となる金額のことをいいます。

こちらの金額を求めるための計算式は、以下の2パターンになります。

①平成15年3月まで:平均標準報酬月額×7.125÷1000×平成15年3月までの加入月数
②平成15年4月以降:平均標準報酬額×5.481÷1000×平成15年4月以降の加入月数

上述した通り、平成15年に計算式が変更されているため、それぞれの加入期間に分けて計算する必要があります。

つまり、それぞれの計算式に当てはめた金額を合算したものが、報酬比例年金額になるわけですね。

ただし、生年月日に応じて比率を変えなければいけないなどの例外がある場合もあるため、計算には注意しましょう。

また、「平均標準報酬月額」と「平均標準報酬額」についても理解しておく必要があるので、もう少し詳しく見ていきましょう。

平均標準報酬月額

平均標準報酬月額は、賞与(ボーナス)を除いた月給のことをいいます。

個人の標準報酬月額については、毎年1回見直しが行われており、4月・5月・6月の3ヶ月間の賞与を除いた月給の平均額で決められています。

つまり、この期間の月給の平均額が高ければ高いほど、厚生年金の保険料は高くなり、受給額も増えることになります。

平均標準報酬額

平均標準報酬額は、賞与(ボーナス)を含めた年収÷12をしたものになります。

平均標準報酬月額は賞与を除いた月給から算出するのに対して、平均標準報酬額は賞与を含んだ年収を12ヶ月で割った月給の平均額から算出します。

用語が似ていますが、報酬比例年金額を算出するための計算式が異なるため、間違えないように注意しましょう。

② 経過的加算

経過的加算とは、わかりやすく表現すると、60歳以降に厚生年金に加入している場合に加算される受給額のことです。

こちらの金額を求めるための計算式は、②から①を引いたものになります。

◆経過的加算=②-①
①1,626円(2019年度)×生年月日に応じた率×被保険者期間の月数
②約78万100円×被保険者期間の月数÷480

ただし、60歳までに480ヶ月(加入期間上限)を経過している場合は無効となりますので、注意してください。

③ 加給年金額

加給年金額とは、配偶者や子どもがいる場合に、家族手当のようなものが加算されます。

加算条件は、以下の通りです。

◆厚生年金の加入期間が20年以上、または、男性40歳以降(女性35歳以降)に15年以上ある場合
◆65歳未満の配偶者もしくは18歳到達年度末日までの子どもがいる場合

最大金額の目安としては、両方に当てはまる場合には約60万円、片方に当てはまる場合には、配偶者の場合は約40万円、子どもの場合は約22万円を加算される可能性があります。

また、加給年金額の他にも、以下が加算される場合もあります。

  • 振替加算…配偶者の加給年金が終了した後、配偶者の生年月日が「昭和41年4月1日生まれ」以前であることを条件に、扶養されている側の年金に加算されること(最大約22万円
  • 特別加算…配偶者の生年月日(昭和9年4月2日生まれ以降)に応じて、設定されている特別加算額が加算されること(最大約16万円

ただし、配偶者が65歳になるまでに「繰り下げ受給」をすると上記の加算は受けられなくなるので、注意してください。

厚生年金の計算方法について

上記の計算式を参考に、実際に計算してみましょう。

今回は、平成15年をまたがない場合の計算方法でご紹介します。

また、経過的加算と加給年金額は加算せずに算出していますのでご注意ください。

事例1: Aさん(女性)23歳から60歳まで一般企業に就職した場合

老齢基礎年金…78万100円×(444÷480)=約72万円
老齢厚生年金…(360+60×2÷12)×5.481÷1000×444=約97万円

上記の事例では、年収360万円で賞与60万円×2回を受け取っており、37年なので444ヶ月の間、厚生年金に加入していた女性の場合です。

合計年額は約169万円となるため、月額は約14万円となります。

事例2: Sさん(男性)23歳から40歳まで一般企業、41歳から60歳まで自営業で働いた場合

老齢基礎年金…78万100円×(444÷480)=約72万円
老齢厚生年金…(420+40×3÷12)×5.481÷1000×204=約50万円

上記の事例では、年収420万円で賞与40万円×3回を受け取っており、17年なので204ヶ月の間、厚生年金に加入していた男性の場合です。

41歳以降は国民年金のみとなるため、厚生年金は計算しません。

合計年額は約122万円となるため、月額は約10万円となります。

また、上記の事例の2人が夫婦だった場合には、合計年額は約291万円となるため、世帯として受け取れる月額は約24万円となります。

そこに、経過的加算と加給年金額は加算される場合には、上記の金額よりもさらに多い金額を受給できることになります。

実際の受給額は増減する場合があるので注意しよう

国民年金のみに加入している人に比べると、国民年金と厚生年金の両方に加入している人の方が、年金の受給額は多くなります。

厚生年金の受給額の計算式や計算方法は、国民年金とは異なり、かなり複雑です。

1つ1つを丁寧に算出していけば求めることは可能ですが、計算式に当てはめて算出した受給額が満額もらえるわけではありません。

年金の受給時期を早くしたり遅くしたりした場合や、個人の収入状況によっても受給額は大きく異なります。

あくまでも目安として、上記の計算方法で大体の年金の受給額を把握して、今後の老後に向けて備えられるように対策していきたいですね(^^♪