接待に使った飲食代は経費になるのか? | 「税金経営」の時代 |
平成18年の税制改正により、お酒の入る場所であっても 1人あたりの支出が 5000円以下であれば、全額会社経費として落とせるようになりました。ただし、 1件の支出額が 5000円以下であっても手土産の菓子等は対象外になるので注意が必要です。
交際費でもっとも多く使われるのは、飲食代だと思います。大会社の場合はマスメディアを使った広告宣伝等を出す資金力がありますが、中小・中堅企業の場合、そこまでの資金力がないこともあり、飲み食いやゴルフで先方の担当者を接待することで営業を強化する傾向が強くなります。
従来、飲食代については、お酒が入る場所、スナックやクラブなどでの飲食については、
たとえ費用が2、3000円程度の少額であってもすべて交際費として扱われ、交際費の限度額の範囲を超えれば超過分全額が会社経費にならず、税負担が生じていました。平成18年の税制改正により現在は、お酒の入る場所であったとしても1人あたりの支出額が5000円未満であれば、全額会社経費として落とせるようになりました。ただし、次のような場合は対象から除外されています。
1.「飲食又はこれに類する行為」が対象となりますので、中元やお歳暮など、または手土産などは対象になりません。
2.社外の取引先などとの間での飲食が対象ですので、社内の人だけでの飲食は対象になりません。要は社外の人が1人はいないと対象になりません。
3.ゴルフの際の飲食については、主たる目的がゴルフのため「飲食代」としては扱われず、対象になりません。
4.得意先を旅行等に招待した場合の現地での飲食についても、旅行と一体として扱われるため対象になりません。
5.会議費については対象外ですので、通常会議に要する金額の範囲であれば一人あたり5000円とは関係なく全額会社経費となります。
得意先の行事に差し入れた弁当代は対象。手土産は交際費に!
「飲食又はこれに類する行為」とは、得意先等を接待して飲食するための飲食代以外にも、得意先等の行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための弁当代等も対象となります。また、飲食後に飲食物をお土産として渡すときの費用も「これに類する行為」となります。
ただし、飲食物を手土産として持っていったり、中元やお歳暮として飲食物を贈答する場合は、「飲食」というよりも「お土産」「贈答」という性格となるため、「これに類する行為」には該当しません。飲食にともなうタクシーなどでの送迎費用は、直接の飲食代でもありませんし、飲食店に支払うものでもないため、通常の「交際費」となります。
人あたり5000円以下の飲食費の判定は、次のように判定します。
飲食などのためのテーブルチャージ、サービス料を含む
2次会の費用については、1次会とは別に設定されている場合は、それぞれで判定
消費税については、会社の経理処理方法により判定(税込経理の場合は、税込で 5000円、税抜経理の場合は、税抜で5000円)
飲食等のための費用総額÷飲食等の参加人数で判定
カラオケの際の飲食については、カラオケ代も含む金額で判定
この取り扱いを適用するためには、次の事項を記録した書類の保存が必要となります。
飲食のあった年月日
参加した得意先等の会社名、参加者の氏名(参加者が多数で一部の方の氏名が不明な場合、○○部門 部長他 名という記載でも構いません)
参加した人数・
飲食店名および所在地
飲食金額
社内で「交際費の支出伺い」等の書類を作成する場合は、飲食代の領収書を添付して、これらの事項を記載したものを保存しておけば結構です。領収書のみの場合は、領収書の余白にこれらの事項を記入したものを残しておくことになります。
デフレもあって1人あたり5000円の飲食代は、それなりに使い出のある金額ではないかと思います。5000円が会社経費になるか会社経費にならないか、会社のキャッシュフローに大きく影響しますので、面倒でもこまめに記録を残すようにしてください。
くれぐれも飲みすぎて忘れた〜、とならないように。