内定取り消し事例を紹介!違法・不当な理由の場合の対処法・損害賠償
就職活動に長い時間を費やし、やっとの思いで、希望する企業からの内定を勝ち取ったという人もいるかと思います。
しかし、さまざまな理由から内定取り消しを言い渡されたり、内定を辞退するように促されることも少なくありません。
就職先が決まったにも関わらず、突然に内定取り消しを言い渡されると、内定者の負担はかなり大きいですよね(^^;
ただ、原則として、内定者に落ち度がない場合には、企業側から内定を取り消すことは許されません。
そのため、内定取り消しの理由が違法・不当であると判断される場合には、企業側に損害賠償を請求できるという事例もあります。
そこで、ここでは、内定取り消しの事例や、内定取り消しが違法・不当な理由の場合の対処法について詳しく見ていきたいと思います。
目次
内定取り消しのほとんどは内定者側に問題のあるケースが多い
内定取り消しの理由には、自己責任の場合と企業都合の場合があります。
企業都合の内定取り消しの理由については下記で詳しく説明しますが、内定取り消しの理由として多いのは、内定者側に問題がある場合となります。
内定者側に問題がある場合の内定取り消しの理由は、以下となります。
- 採用内定通知、誓約書等に記載されている内定取り消し事由がある場合
- 提出書類に虚偽の記載を行っていたことが発覚した場合
- 内定者の健康状態が著しく悪化した場合(傷病・妊娠も含む)
- 採用内定後、内定者が犯罪行為を行い逮捕された場合
- SNSで不適切な内容のものを投稿した場合
- 卒業予定であった高校または大学を卒業できなかった場合
上記それぞれの内容にもよりますが、これらの項目に当てはまることが発覚した場合には、基本的には、内定取り消しが正当であると判断されます。
そのため、上記の理由による内定取り消しの場合には、内定者側が内定取り消しを無効にするように申し出ても挽回することは、非常に厳しくなります。
特に、SNSの投稿については、人事部や人事担当者による内定者のSNSチェックはされているものと考えておいた方が良いでしょう。
迷惑行為や犯罪行為などの社会的に問題があると判断されるものはもちろんですが、会社への批判などをアップしたことが原因で内定を取り消されることも増えてきています。
何気なく投稿した内容が、会社にとっては不適切だと判断される場合もありますので、不用意に投稿するのを避けるか、非公開にするなどの対策を行うようにしましょう。
内定取り消しが違法・不当な理由の場合の対処法とは?
上記のように、自己責任の場合の内定取り消しについては、取り消しを無効にしてもらうことは難しいのではないかと思います。
それに対して、内定取り消しが違法や不当となる場合について見ていきたいと思います。
企業側の都合による内定取り消しが認められる場合
企業側が応募者との内定を交わしたということは、「入社日以降に雇用する」という条件をもとに内定を下したとみなすことができます。
つまり、内定取り消しを行うことは、「解雇」と同じ扱いになります。
そのため、内定者に落ち度がない場合には、企業側の都合による内定取り消しは、解雇と同様に許されることではありません。
しかし、業績の悪化による事業縮小などの理由から内定を取り消さないといけない場合には、下記の事項に当てはまるのであれば「整理解雇」として認められる場合があります。
内定取り消しが整理解雇として認められる4つの基準は?
- 人員削減の必要性があること
- 整理解雇を回避するための努力を尽くしたこと
- 解雇の対象者の選定が妥当であること
- 対象者や労働組合に十分説明の上、協議したこと
内定取り消しが違法・不当となる事例
内定取り消しが違法・不当であると判断される事例については、下記の通りです。
- 内定承諾後に、「求めていた人材と違う」「会社にふさわしくない」という理由で内定取り消しを言い渡された場合
- 過去の出来事や職歴などから内定取り消しを言い渡された場合
- 業績が悪化した、などの企業側の一方的な理由によって内定取り消しを言い渡された場合
上記のように、選考段階で適性かどうかを判断できる場合や、企業側の一方的な都合によって内定取り消しを言い渡された場合には、不当な理由であるといえます。
また、キャバクラや風俗で働いていたこと、孤児院に入っていたことなど、過去の出来事や職歴を理由に内定取り消しを言い渡された場合にも、不当な理由として判断される場合があります。
内定取り消しが違法・不当である場合の対処法
内定取り消しの具体的な理由について文書回答を求める
内定取り消しを言い渡された場合に、取り消される覚えがない、もしくは、明らかに不当な理由であると判断できる場合には、企業に内定取り消しの理由を文書で求めましょう。
口頭だと録音していない限りは形として残ることはありませんが、文書だと形として残すことができるため、万が一の時に証拠として提出することも可能になります。
一度、文書として残してしまえば、企業側は後から訂正したり口を出したりすることはできなくなるため、口頭ではなく文書で回答を求めるのが良いです。
法的な手段も視野に入れて、会社と交渉を行う
内定取り消しが不当だと判断できる場合には、企業から受け取った内定取り消しの文書回答を持参し、内定取り消しが不当であると訴えましょう。
また、内定取り消しを受けたのが学生である場合には、大学に内定取り消しの旨を伝えて、対応の仕方などを相談すると、よりスムーズに行動に移すことができます。
話し合いの結果、企業が不当だと認めた場合には交渉は終了となりますが、難航することを考慮し、法的な手段も視野に入れておくことが重要です。
- 地位確認の請求
→内定取り消しを無効とし、従業員としての地位の確定を求める - 賃金仮払いの請求
→裁判期間中の生活費を求める(入社を求める裁判では職に就いていないため) - 損害賠償請求
→内定取り消しを受け入れる代わりに損害賠償や慰謝料を求める
また、こうした交渉および訴訟を行う場合には、弁護士に依頼するとスムーズに対応することが可能になります。
企業側とのやりとりを証拠として収集し、弁護士に相談しましょう。
違法・不当である場合にはしっかりと対応しよう!
せっかく企業から内定をもらったのに、いきなり内定取り消しをされるのはかなり痛いです。
それが自己責任である場合には仕方ないと割り切るしかありませんが、こちらに思い当たる理由が何もない場合には、何が理由かわからないですよね。
その場合には、企業に内定取り消しの理由を文書で求めるようにしましょう。
企業による内定取り消しが一方的である場合、もしくは、その理由が明らかに違法・不当であると判断できる場合には、正しく対処すれば損害賠償や慰謝料を請求できます。
内定取り消しの理由が違法・不当であると企業に主張するためにも、上記を参考に対応してしましょう(^^♪