退職勧告とはどう進めるのが良い?違法にならずに従業員を辞めさせる
退職勧告とは、従業員の能力不足や、不況時の整理解雇などの理由から、従業員を辞めさせたいという場合に、自主退職をお願いすることを指します。
しかし、従業員から自主的に退職してもらうように促すと一言にいっても、なかなか骨が折れますよね(^^;
会社側と従業員がお互いに合意の上で退職をしてもらえるように退職勧告を行う必要がありますが、どう進めるのが良いのでしょうか?
また、従業員が退職を拒否しているにも関わらず、退職勧告をしつこく行ってしまうと、退職強要となり違法になる場合があります。
しかし、いくつかの注意点を考慮しながら手順を踏んで退職勧告を行えば、違法にならずに従業員を辞めさせることが可能になります。
そこで、ここでは、退職勧告とはどう進めるのが良いのか、具体的な手順と、違法にならずに従業員を辞めさせるための注意点などについて、詳しく見ていきたいと思います。
目次
退職勧告とは?勧告の仕方によっては違法になる?
退職勧告とは、従業員が自主的に退職してくれるように働きかける行為のことを指します。
退職勧告は、会社側が一方的に雇用契約の解除を行う解雇とは異なり、あくまでも従業員に対して「自主退職のお願い」を行うことをいいます。
基本的に、会社から従業員に対して、解雇を行う場合には、会社のお金を横領したなどの合理的な理由が必要となります。
しかし、そのような事情がない場合には、会社は従業員を解雇することはできません。
そのため、自主的に退職してもらうように説得するために、退職勧告を行うわけですね。
しかし、退職勧告を受けたとしても、従業員が納得できない場合には退職させることはできません。
従業員が納得せず、退職を拒否しているのにも関わらず、退職勧告をしつこく行った場合には、退職強要となり違法になる可能性があります。
違法にならないようにするためには、会社側と従業員がお互いに納得した状態で、自主退職を受け入れてもらうように働きかけることが重要です。
そのため、会社から従業員に退職勧告をする場合には、双方が納得できるように事前に準備をしておくことが必要になります。
違法にならずに従業員を辞めさせるための注意点とは?
それでは、実際に、会社側は、どのように従業員に対して、退職勧告を行うのかについて見ていきたいと思います。
退職勧告の具体的な手順とは?
退職勧告を行う場合の具体的な手順とは、下記の通りです。
- 退職勧告の対象となる正当な理由を提示する
- 退職してほしいという会社の意向を伝える
- 退職勧告に対する回答期限を設け、検討する時間を与える
- 退職の時期、金銭面の処遇などを話し合う
- 退職届を作成する
退職勧告を行う際には、対象となる従業員との面談の機会を設定しましょう。
その際に、退職勧告の正当な理由を提示して、退職してほしいという意向を伝えることになります。
このときには、退職勧告に至るまでに改善努力をし続けてきたこと、その上で会社の方針や業務内容と従業員との適正が合っていなかったことを冷静に伝えることが重要です。
また、一回の面談で従業員に結論を迫るのではなく、退職勧告に対して検討する時間を与えて、従業員とのやりとりの中で必要と思われる分の面談を調整して行うようにしましょう。
検討後、従業員が退職に合意した場合には、退職の時期や金銭面などの処遇などの話し合いを行います。
そこで、失業給付に関する退職理由の調整や、退職金および解雇予告手当の支給などについて、細かく調整していくことが重要です。
その後、退職勧告に応じて退職をしたことを示す退職届を従業員に提出させるまでが手順となります。
上記を無事に遂行できれば手順としては終了ですが、上記の手順で不安を感じる場合には、退職勧告通知書を従業員に手渡して、退職勧告同意書にサインをもらうと良いでしょう。
ここまで、退職勧告の手順について説明してきましたが、退職勧告を行う際には、違法にならないように注意して行う必要があります。
違法にならずに従業員を辞めさせるための注意点は、以下の通りです。
退職勧告をしつこく行うことは避ける
退職勧告を受けたとしても、受け入れるかどうかの意思決定を行う権利は従業員にあります。
そのため、会社側からの申し出に納得ができない場合には、従業員には退職勧告を拒否する権利があります。
従業員が拒否したにも関わらず、会社側がしつこく退職勧告を繰り返した場合には、「退職強要」となり、違法行為になる可能性があります。
その行為が悪質だと認められた場合には、従業員から損害賠償を請求される可能性もあるため、注意が必要です。
パワハラに繋がるような行為を避ける
退職勧告に応じない場合に、対象である従業員を自主退職に追い込むようにパワハラを行うことは決して許されることではありません。
例えば、退職勧告を断ったことを機に従業員の人事評価を下げて減給したり、部署を異動させたり、という行為が該当します。
また、「役立たずの癖に身の振り方をわきまえろ」「お前なんか会社に必要ないんだよ」といった退職に追い込むような言動もパワハラに該当します。
上記のようなわかりやすい行為ではなくても、パワハラだと従業員に思われるような行為は避けるようにしましょう。
相手の意思の自由を尊重する
退職勧告は、あくまでも「自主退職のお願い」です。
また、退職勧告を受け入れるのか、拒否するのかの決定権があるのは従業員です。
従業員を批判したり、減給や降格といった不利益な条件を提示するなど、従業員の意思の自由を奪うような行為は決して行ってはいけません。
あくまでも、従業員の意思の自由を尊重した上で退職勧告を行うことが重要です。
退職勧告は対象者の合意を得られるように配慮することが重要
退職勧告を行うこと自体は難しいことではありませんが、進め方によっては違法と受け取られてしまい、訴訟にまで発展するケースもあります。
あくまでも自主退職のお願いであること、退職するかどうかの決定権は従業員にあることを念頭に置いて進めることが重要です。
また、退職勧告を円満に進めるためには、会社の現状をしっかりと伝えて、従業員との適正を見た上での判断だということを、冷静に、かつ、淡々と伝える必要があります。
長時間にわたる面談で退職を説得すること、何回も面談を行って退職を勧めることは、退職強要と判断される可能性が高くなるので、注意したいところですね。
会社の業績や従業員の問題があっても、退職勧告という、会社都合での退職は、会社側にもデメリットがあるので、注意が必要です。
上記にまとめた進め方や注意点を参考に準備をして、双方が納得した上で退職勧告を勧められるようにしましょう(^^♪