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会社設立と個人事業主どちらがお得?会社設立のメリットとデメリット

ビジネスを始める際の形態として、株式会社や合同会社などの会社を設立する方法と個人事業主となる方法とがあります。最近では、いわゆるフリーランスとして会社を設立せずに個人で事業を行う人も多くいます。そこで、今回は会社を設立する場合と個人事業主となる場合、それぞれのメリットとデメリットを比較します。

1.個人事業主のメリット

個人事業主だと会社設立が不要だからすぐにビジネスが始められそうだね。
さとし君
さとし君
その通りよ。会社と比べて面倒な手続がいらないことが個人事業主の最大のメリットね。
アンナ先輩
アンナ先輩

個人事業主とは、個人名義でビジネスを行う形態です。個人事業主としてビジネスを行う場合には管轄の税務署に開業届を出すだけでよいため、ビジネスを始める上でのハードルが低いことが最大のメリットといえます。
また、個人事業主自身は社会保険(健康保険・厚生年金・介護保険・雇用保険・労災保険)に加入する義務がないため、社会保険に関する煩雑な手続も不要となります。

2.個人事業主のデメリット

個人事業主のデメリットって何があるのかな?
さとし君
さとし君
少しずつ改善しているみたいですが、まだ個人事業主だと会社より信用力が劣るとされる場面が多いですね。
松浦弁護士
松浦弁護士
私生活でもローンを組みにくかったりすることがあるようだよ。
マリオ教授
マリオ教授

個人事業主のデメリットは、会社と異なり対外的な信用力が低いことでしょう。これはビジネスをする上でもそうですが、私生活においても同様です。最近はフリーランスという働き方が増えて社会的に認知されてきているため昔ほどではないにせよ、個人事業主だと住宅ローンや賃貸住宅の審査が通りにくいという状況はいまでもあるようです。
これに対して、会社を設立した場合には、肩書が「会社役員」「会社経営者」となります。社長1人の会社で個人事業主と実態が変わらないとしても、後者の方が信用できると考える人はまだ多くいます。
私生活上のデメリットは家族にも影響することがありますので、許容できるものであるかをよく検討する必要があります。一方で、既に住宅を確保していたりローンを組む予定がないなどといった場合には、それほど大きなデメリットではないともいえます。

3.会社設立のメリット

色々な企業と取引したいなら会社の方がよさそうだね。
さとし君
さとし君
個人事業主のデメリットの裏返しだけど、会社は信用力が高いのが最大のメリットといえるわね。
アンナ先輩
アンナ先輩
他にも会社の場合には代表者が死亡した場合に、事業用の財産が凍結されないというのも見逃せないポイントです。取引先がたくさんあるようなビジネスにおいては安心材料となります。
松浦弁護士
松浦弁護士

株式会社や合同会社など会社を設立してビジネスを始める場合のメリットとしては、次の点が挙げられます。

3-1.信用力が高い

個人事業主は代表者の経歴や素性について基本的に自己申告でしか確認ができませんが、会社の場合には基本情報が商業登記に掲載され誰でも閲覧することができます。したがって、会社の方が一般的には対外的な信用力が高いといわれています。
このため、特に大手企業と取引する際には、会社を設立した方がよいことがあります。また、金融機関から借り入れをする場合にも、個人で借り入れをするよりは会社として借り入れをする方が有利といわれることもあります。
ただし、個人として既に知名度を有しているとか優位性のある技術や資格を持っているような場合には、個人事業主であっても問題なく取引ができる可能性が高いです。したがって、必ずしも会社の方が個人事業主より取引先を開拓しやすいともいえず、あくまでも一般的な傾向であることに留意しましょう。

3-2.人材確保がしやすい

一般的に、個人事業主として従業員を雇用するより会社として雇用する方が従業員からの評判は良いといえます。これは、会社の方が一般的には対外的な信用力が高いため、安定しているイメージを持つ人が多いためでしょう。
したがって、特に優秀な人材を複数雇用したい場合には個人事業主ではなく会社形態としておく方が無難といえます。ただ、従業員を雇用する予定がない場合には、このメリットはあてはまりません。

3-3.決算日を自由に決められる

意外と盲点になりがちですが、会社の場合には決算日を自由に決めることができるのに対し、個人事業主は事業年度が1月~12月と決められていて自由に変更することができません。したがって、年度末を繁忙期と重ならないようにしたい等の希望がある場合には会社とした方がよいといえます。

3-4.事業の継続性が維持しやすい

事業が軌道に乗ってくると事業の継続性を考えなければならない局面がやってきます。具体的には、代表者自身が死亡したような場合であっても事業がストップしないように配慮する必要が出てくるのです。
個人事業主の場合、代表者が死亡すると事業用の財産も含めて相続の対象となってしまいますので遺産分割が終了するまで預金の引き出しすらできなくなります。このような事態となれば事業は休業または廃業せざるを得ず多方面に迷惑をかけるおそれも否定できません。
会社の場合には、代表取締役が死亡しても会社名義の財産は何ら影響を受けません。このため、会社が新たに代表者を選任すれば事業は継続することができます。

3-5.代表者の個人財産を保護できる?

会社である場合には代表取締役個人が連帯保証せずに締結した契約については代表取締役自身が個人財産を支払いに充てる義務を負いません。契約名義はあくまでも会社なので、会社の保有する財産のみが債務の引き当てとなるからです。
ただ、代表取締役個人の連帯保証についてはさまざまな批判はあるものの、非上場企業や中小企業の場合にはまだまだ求められる場面は多いようです。代表取締役個人が連帯保証する以上は、会社の倒産などにより支払えなくなった債務は連帯保証人が個人財産から支払わなければならないことになります。したがって、代表者の個人財産を保護できるというメリットを享受することは現実には難しいことが多いでしょう。
なお、個人事業主がオフィスの賃貸借契約など重要な契約を締結する際には第三者の連帯保証を求められることがあります。これに対し、会社であれば契約名義人は会社となりますので連帯保証人を求められた場合には、代表取締役本人が個人で保証することで足り、第三者の連帯保証人を探してこなくても良くなることがあります。自分の事業と無関係の第三者に連帯保証を頼むのは非常に骨の折れることですので、この点は会社を選択することの一つのメリットということができるでしょう。

4.会社設立のデメリット

会社設立にも当然デメリットはある。何かわかるかな?
マリオ教授
マリオ教授
会社設立手続については何度も勉強しているけれど手間と時間がかかるよね。
さとし君
さとし君
よく覚えていたわね。会社を設立した後も、管理のためにかかる手間は個人事業主の比ではないわ。
アンナ先輩
アンナ先輩
会社は個人事業主には適用されない会社法が適用されるので、より複雑な会計処理や株主総会等の運営、それから登記に関する事務作業などが必要となります。
松浦弁護士
松浦弁護士

4-1.会社設立に手間と費用がかかる

会社を設立するためには、必要な手続が会社法で細かく決まっています。例えば、定款の作成・認証や会社設立登記の申請などです。これらの手続を専門家に依頼せず自分一人でやることは大きな負担です。
また、資本金1円で会社を設立できるようになったとはいえ、会社設立手続のためには公証役場や法務局に支払う手数料や登録免許税が別に必要です。これらの費用だけで約20万円の支出が発生します。このように、会社を設立する手続自体に手間や費用がかかりビジネスを始めるまでのハードルが高いのが会社のデメリットといえます。
なお、資本金の金額に関しては以下の記事で詳しく説明しています。

会社設立時の資本金はどう決める?必要な手続についても解説

4-2.社長1人でも社会保険へ加入する必要

会社を設立して代表取締役に就任する場合、たとえ従業員を雇用しないとしても社会保険のうち健康保険と厚生年金に加入する必要があります。厚生年金は個人事業主が加入する国民年金と比較すると非常に高額です。また、従業員を雇用した場合には従業員の分の社会保険料の支払いも必要となりますので、更に負担は重くなります。

4-3.事務作業の増大

会社を設立した場合、一般的に管理のための事務手間が増大します。具体的には、以下のような作業が必要となります。

・経理:会計処理や税務申告
・人事:社会保険に関する手続
・法務:株主総会や取締役会の開催や議事録の作成、登記変更等

個人事業主でも経理業務は必要ですが、会社の場合にはより厳密なルールに従った会計処理が求められますし、税務申告も個人事業主より複雑で手間がかかります。このため、経理に関して税理士や公認会計士などの専門家に依頼することなく社長自身が本業の片手間にやることは非現実的といえますが、一般的に会社が税理士などに依頼する場合の報酬は個人事業主が依頼するより割高です。
また、社会保険に関する手続についても案外手間暇がかかります。これも、社会保険労務士などに依頼することも可能ですがその分委託のための報酬が必要となります。
更に、株主総会の開催等やそれに基づく商業登記の変更については会社法上定められた厳格なルールに従って行う必要がありますが、管理部門の業務を扱った経験がないとルール自体を理解するのにかなりの時間がかかると思われます。かといって、株主総会等を開かずに放置していると、後から株式上場などを検討する際に大きな問題となることがあります。また、役員の変更など会社の登記事項に変更が生じたときには2週間以内に変更登記の申請をする必要があります。これを行わなかった場合には過料を科されることもあります。

5.会社設立と個人事業主の比較

会社設立と個人事業主にはそれぞれ長所と短所があるので、自分の事業に向いているのはどちらかをよく考える必要があります。
松浦弁護士
松浦弁護士
一度設立した会社は清算するにも手間がかかるので、最初は個人事業主から始めるのも一つの選択肢といえそうだね。
マリオ教授
マリオ教授

以上みてきたように会社と個人事業主のいずれを選択するかに関しては一長一短といえます。一般論としては、事業を拡大する予定がなく出費を抑えて自由に仕事をしたいなら個人事業主が向いているということになります。
これに対して、従業員を雇用するとか大企業と大口取引をするなど事業を拡大する予定があり、かつ開業時に融資を受けるなど資金に余裕がある場合には会社設立がおすすめといえます。

6. 会社設立の際には専門家に相談を

会社を設立することも個人事業主としてビジネスをすることも、いずれも長所と短所があります。重要なのは、自分の仕事に対するスタンスや事業内容に合った形態を採用することです。迷いがあるのであれば、まずは個人事業主として小さく始めて、軌道に乗った段階で法人化することも一つの選択でしょう。
会社設立をする場合には、設立手続やその後の経理等の事務作業に大きな手間がかかることは記事内でも触れた通りです。そこで、会社を設立するのであれば税理士等の専門家に相談しておくことが望ましいといえるでしょう。どのような事務所に相談するべきかわからないという場合は、まずは本サイトの窓口へ問い合わせてみましょう。

文)松浦絢子弁護士
松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法科大学院出身。東京弁護士会所属(登録番号49705)。

松浦綜合法律事務所