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預り証の効力があるのはどのような場合?法的に有効な書式・内容は

預り証は、物品または金銭を預けた際に発行される書類です。

預り証を発行してもらうことで、物品または金銭を預けたこと、相手が預かる約束をして受け取ったという事実を証明することができます。

しかし、預り証を発行してもらったからといって、安心するのは早いです。

実は、預り証として発行されたものの書式・内容によっては、預り証としての効力がないと判断される場合があります。

預り証としての効力がないと判断されれば、トラブルが発生した場合に、相手が預かる約束をして受け取ったという事実を証明するのは難しくなってしまいます。

ただし、預り証だけではなく、その他の証拠となりうるものを一緒に提示することで、その事実を証明することができる場合があります。

ここでは、預り証に効力がある場合の書式・内容や、預り証に効力がないと判断された場合の対処法について、詳しく見ていきたいと思います。

預り証に効力があるのはどのような場合なの?

預けるものには、物品(貴重品、鍵等)と金銭の大きく2つに分けられます。

物品を返してもらえなかった場合もショックは大きいですが、預けた金銭が高額であればあるほど、返してもらえなかった場合のショックは尋常ではありませんよね。

その時には、なんとしても、預けたものを取り返したいと思うものだと思います。

しかし、預けたものを取り返そうと思うと、相手が対象のものを預かった事実を証明する必要があります。

この時、有効な証拠となるのが預り証ですが、発行された預り証の書式・内容によっては、法的な効力がないと判断される場合があります。

具体的に、どのような書式・内容のものが効力があるのかは、下記にご紹介しますが、効力があると認められるポイントは、以下の通りです。

  • 誰と誰がどうするのか、取引の内容が客観的にわかること
  • 相手が預けたものを、預かる側が保管する約束をして受け取ったという事実があること
  • 書面への署名・捺印があること

まず、預り証を見た段階で、誰と誰がどうするのか、取引の内容が客観的にわかるものであるというのが大前提です。

そのため、預かる金額と相手の氏名だけを記載した預り証では、何のために預けたのかがわからないので、効力は非常に弱くなってしまいます。

相手が預けたものを、預かる側が保管する約束をして受け取ったという事実を証明するためにも、上記の内容はしっかりと記載してもらいましょう。

また、これまでの内容に加えて、書面への署名・捺印があることで、預り証に記載されている取引が真正に成立していることが証明できます。

特に、預けたものを保管する約束をして受け取ったという事実を示すのは、預かる側の署名・捺印になるので、必ず、もらっておくようにしましょう。

預り証に効力がある場合の書式・内容についてご紹介!

ここでは、預り証に効力がある場合の書式・内容について、ご紹介します。

預り証に効力がある場合の書式・内容は?

預り証に効力がある場合の書式・内容は、物品を預かる場合金銭を預かる場合とで、書式・内容は異なります。

それぞれの違いについて、詳しく見ていきましょう。

物品を預ける場合

物品を預ける場合には、以下のような書式・内容になります。

物品預り証の書式・内容
①預かった日付
②預けた人の氏名・捺印
③預かった人の氏名・捺印
④預かる目的
⑤預かった物品名
⑥預かった数量
⑦物品の保管場所
⑧物品の保管期間

物品を預ける場合には、預けた物品(貴重品、鍵等)に対して、預かる目的や預かった物品名、数量、保管場所や期間を記載する必要があります。

相手が預けたものを保管する約束をして受け取ったという事実を証明するためには、預かる目的をしっかりと記載されていないと、預り証の効力は弱くなります。

また、真正に発行された書面であると証明するには、署名・捺印が必要になります。

特に、預かる側の署名・捺印がないものだと効力が弱くなるので、しっかりともらっておきましょう。

金銭を預ける場合

金銭を預ける場合には、以下のような書式・内容になります。

金銭預り証の書式・内容
①預かった日付
②預けた人の氏名・捺印
③預かった人の氏名・捺印
④預かる目的
⑤預かった金額
⑥金銭の保管場所
⑦金銭の保管期間

金銭を預ける場合には、預けた金銭に対して、預かる目的や預かった金額、金銭の保管場所や期間を記載する必要があります。

上述しましたが、預り証の効力を強固なものにするためにも、預かる目的や署名・捺印はしっかりと記載してもらうことが重要です。

また、預けた金銭が高額なのであれば、実印を押し、相手から印鑑証明書をもらっておくようにすると、預り証の効力をより強固なものにすることができます。

預り証に効力がないと判断される場合は?

預り証に効力がないと判断される場合には、以下のようなものがあります。

  • 預り証に記載されている名前に誤りがある(漢字間違い等)
  • 預かる目的が記載されていない
  • 預かった日付が記載されていない
  • 預り証に署名・捺印がない

上記のように、預り証に記載されている名前に誤りがあったり、預かる目的や日付が記載されていないものだと、預り証に効力がないと判断される場合があります。

また、預り証に署名・捺印がないと、発行された書面が、真正な取引のもとに成立されたものだと証明する効力が弱くなります。

預り証の発行を求めるのは預けた側ですから、効力として弱いと判断できるものの特徴は、事前に把握しておくことが重要です。

預り証に効力がなくても有効な証拠はある!

預り証は、上記に該当する場合には、法的な効力は期待できません。

しかし、預り証に効力がない場合でも、法的に有効な証拠はあります。

具体的に、有効な証拠として提示できるものには、以下のようなものがあります。

  • ラインやメールなどのやりとり
  • 銀行振込の履歴
  • お金を預けた日付・内容などを書いた記録(日記等)
  • お金を預けた時のやりとり(音声等)
  • お金を預けることを告げていた友人・知人からの証言

このように、ラインやメールなどで、相手がお金を預かる旨を了承した時のやりとりや、お金を預けた時の状況を記録しておくなどの情報も、証拠として提示できます。

特に、相手がお金を預かる旨を了承していることがわかるもの、銀行振込の履歴などは、非常に有効な証拠となるので、大事に取っておくことが重要です。

ただし、これらのうちの一つを証拠として提示するだけだと、お金を預けた事実を証明するには不十分な場合もあります。

そのため、上記のように証拠となりうるものが手元にある場合には、預り証とともに、ある分だけ提示できるように準備しておきましょう。

預り証に効力がないと判断される特徴を事前に把握しておこう!

預り証は、物品または金銭を預けた場合に発行される書類です。

しかし、物品または金銭を預けたからといって、預かる側から自動的に発行される書類ではありません。

あくまでも、預けた側から発行を求めた際に、預かる側から発行される書類になります。

そのため、預り証として効力がないと判断される特徴を事前に把握しておけば、事前に対策をすることが可能になります。

上記を参考に、預り証としての効力がある書式・内容をしっかりと把握しておきましょう。

また、預り証に効力がないと判断された場合、預り証とともに、預かった事実を証明できるようなものを一緒に提示すれば、証拠として認められる場合があります。

相手側とのトラブルを解決する糸口になる可能性があるので、どのようなものが証拠となるのかについても、把握しておきましょう。