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社会保険料控除は上限はないのか・対象は?他の控除は控除額限度あり

社会保険料控除は、国民健康保険や国民年金・厚生年金などの社会保険料を納めた場合に受けることができる控除ですよね。

しかし、生命保険料控除や医療費控除など、他の控除には、控除額に上限があります。

では、社会保険料控除には、上限というものはあるのでしょうか?

また、社会保険料控除の対象となる範囲のものでないと、控除を受けることはできません。

そのため、社会保険料控除の対象となる範囲とはどこまでなのかについても、しっかりと理解しておきましょう。

ここでは、社会保険料控除の上限があるのか、その対象者などについて、詳しく見ていきたいと思います。

社会保険料控除の控除額には上限はあるの?

上述しましたが、生命保険料控除や医療費控除などの他の控除については、控除額に上限があるのが特徴です。

しかし、社会保険料控除については、控除額には上限がありません

つまり、社会保険料を納付した分の金額または給与や年金から差し引かれた金額の「全額」について、所得控除を受けることができます。

これは、納付者自身の社会保険料のほか、生計を共にしている配偶者・親族の負担するべき社会保険料を納付した金額についても、所得控除を受けることができます。

具体的には、以下に該当する場合が、社会保険料控除の対象となります。

・その年のうち、社会保険料を納付した分
・過去のものをまとめて納付した分
・前納制度を活用して納付した分

ちなみに、前納制度とは、2014年4月から開始された制度であり、その年から2年間で納付する分の国民年金保険料を前納できるようになりました。

前納制度を利用して納付すると、国民年金保険料が割引になるほか、納付した分の全額が社会保険料控除の対象となるなどのメリットがあり、節税効果も得られます。

そのため、前納制度を利用して納付するのもおすすめです。

ただし、12月31日の時点で、まだ納付していない分については、その年の社会保険料控除の対象にはならないため、所得控除を受けることはできません。

あくまでも、その年の1月1日~12月31日の間に納付した社会保険料の全額が、社会保険料控除の対象であることを頭に入れておきましょう。

社会保険料控除の対象などについてご紹介!

ここでは、社会保険料控除の対象などについて、ご紹介します。

社会保険料控除の対象となるもの

社会保険料控除の対象となるものは、以下の通りです。

  1. 健康保険、国民年金、厚生年金保険および船員保険の保険料
  2. 国民健康保険の保険料または国民健康保険税
  3. 高齢者の医療の確保に関する法律の規定による保険料
  4. 介護保険法の規定による介護保険料
  5. 雇用保険の被保険者として負担する労働保険料
  6. 国民年金基金の加入員として負担する掛金
  7. 独立行政法人農業者年金基金法の規定により被保険者として負担する農業者年金の保険料
  8. 存続厚生年金基金の加入員として負担する掛金
  9. 国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、恩給法等の規定による掛金または納金等
  10. 労働者災害補償保険の特別加入者の規定により負担する保険料
  11. 地方公共団体の職員が条例の規定によって組織する互助会の行う職員の相互扶助に関する制度で、一定の要件を備えているものとして所轄税務署長の承認を受けた制度に基づき、その職員が負担する掛金
  12. 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律の公庫等の復帰希望職員に関する経過措置の規定による掛金
  13. 健康保険法附則または船員保険法附則の規定により被保険者が承認法人等に支払う負担金
  14. 租税条約の規定により、当該租税条約の相手国の社会保障制度に対して支払われるもの(我が国の社会保障制度に対して支払われる当該租税条約に規定する強制保険料と同様の方法並びに類似の条件及び制限に従って取り扱うこととされているものに限ります。)のうち一定額

社会保険料控除の対象となる範囲は、非常に幅広く、納付した分の社会保険料については、ほとんどが所得控除の対象となります。

また、納付者自身の分だけではなく、生計を共にしている配偶者やその他の親族が負担するべき保険料や掛金等についても、社会保険料控除の対象となります。

社会保険料控除の対象とはならないもの

社会保険料控除の対象とはならないものは、以下の通りです。

  1. 会社などで任意に組織された共済制度などに基づく会費
  2. 療養の給付を受けた者が負担する費用(告知書に基づき納付するものを含む)
  3. 給与の支払者が負担した保険料(法定割合を超えて負担するもの。ただし、給与として課税されたものは控除される)
  4. 非課税の在外手当(特定地域または外国に在勤する公務員などに対して、給与以外に支給される手当)に対する社会保険料

一方、社会保険料控除の対象とはならないものについては、給与の範囲を超えたものや、任意に組織されたものが主となります。

上記に該当する場合には、社会保険料控除の対象とはならないため、注意しましょう。

社会保険料控除の対象かどうかを確認する方法

社会保険料控除の対象かどうかを確認する方法は、以下の通りです。

  1. 控除の対象となる社会保険料かどうか
  2. 社会保険料が、その年中に支払われているか
  3. 実際に支払ったことが証明できるか

社会保険料控除の対象かどうかは、納付した分の社会保険料が控除の対象となるのかその年中に納付した事実が証明できるかどうかが重要となります。

裏を返せば、納付した分の社会保険料が控除の対象でない場合や、その年中に納付した事実が証明できない場合には、所得控除を受けることができません。

そのため、納付した分の社会保険料が控除の対象となるのかどうかは、事前に確認しておくことが重要です。

また、その年中に納付した事実を証明するためには、社会保険料控除証明書が必要となります。

社会保険料控除証明書は、その年の11月上旬または翌年の2月上旬に、日本年金機構から送付されるものです。

確定申告または年末調整の時に提出する必要があるので、その時期がくるまでは、紛失しないように大切に保管しておきましょう。

社会保険料控除の対象かどうかを確認して申告しよう!

社会保険料控除は、納付した分の社会保険料の全額について、控除を受けることができます。

しかし、社会保険料控除の対象かどうかを事前に確認しておかないと、条件に該当しない場合には、控除を受けることができないこともあります。

社会保険料控除の対象かどうかは、上記にまとめてありますので、ぜひ参考にして、該当するかどうかを確認してみてください。

社会保険料控除は、他の控除と違い、納付した金額の全額が所得控除の対象となります。

唯一、全額控除されるものであるため、該当することが確認できたのであれば、納付した分についてはしっかりと申告しましょう。

また、申告の際には、納付したことを証明する社会保険料控除証明書の添付も必要となるので、大切に保管しておくことが重要です。