確定申告が必要な人!年金受給者の場合は?不要制度の対象の場合は
60歳以降に年金を受給するようになると、会社の場合と同様、年金が支給される際に、所得税が源泉徴収されています。
しかし、会社では年末調整をしてもらえますが、年金を受給されるようになってからは、年末調整をしてもらうことはできません。
そのため、確定申告をする必要があるかどうかは、自分で判断することになります。
年金受給者の場合、確定申告が必要な人とはどのような場合なのでしょうか?
また、年金受給者には確定申告不要制度があるため、不要制度の対象である場合には、確定申告をする必要はありません。
確定申告が必要であるかどうかを判断するためには、不要制度の対象についても正しく把握しておくことが重要です。
ここでは、年金受給者で確定申告が必要な人の場合について、詳しく見ていきたいと思います。
目次
年金受給者も確定申告が必要?
60歳以上に支給される年金は「雑所得」となるため、所得税の対象になります。
年金は受給者に支給される際に、所得税が源泉徴収されています。
また、年金受給者には確定申告不要制度があるため、年金だけで生活している人の多くが、確定申告をする必要はありません。
では、どのような人が確定申告をする必要があるのか、詳しく見ていきましょう。
年金受給者で確定申告が必要な人
年金受給者で確定申告が必要な人とは、以下の通りです。
- 公的年金等の収入金額が400万円以上の場合
- 公的年金等以外の所得金額が20万円以上の場合
- 2ヶ所以上から年金を受けている場合
これらの基準を1つでも満たしている場合には、確定申告をする必要があります。
確定申告不要制度の基準を超えた、公的年金等の収入金額が400万円以上、または、公的年金等以外の所得金額が20万円以上である場合には、確定申告が必要です。
また、2ヶ所以上から年金を受けている場合にも、確定申告が必要になります。
年金受給者で確定申告をした方が良い人
年金受給者で確定申告をした方が良い人とは、以下の通りです。
- 「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合
- 所得控除や税額控除に該当するものがある場合
これらの基準を1つでも満たしている場合には、確定申告をすることをおすすめします。
退職所得の受給に関する申告書とは、会社を退職して退職金を受け取る時に、退職前に勤務先に提出する申告書のことをいいます。
退職所得の受給に関する申告書を提出した場合と提出していない場合には、所得税の計算方法が大きく異なるため、確定申告をしないと損をしてしまうことになります。
また、所得控除や税額控除に該当するものがある場合にも、確定申告をすれば還付を受けることができます。
どちらの場合においても、所得税を計算し直すことで、払い過ぎていた税金が戻ってくる可能性があるので、確定申告をした方が良いでしょう。
年金受給者の確定申告についてご紹介!
ここでは、年金受給者の確定申告について、ご紹介します。
年金受給者の確定申告
年金受給者の場合、原則として、公的年金等の収入金額が400万円以下、かつ、公的年金等以外の所得金額が20万円以下の人であれば、確定申告は不要です。
ただし、年金受給者で所得税の還付を受ける人は、確定申告をする必要があります。
受給している年金のすべてが個人年金である人は、すべての所得について、確定申告をする必要があります。
また、源泉徴収があり、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、住宅ローン控除などを受ける人も、確定申告をして還付を受けるようにしましょう。
年金受給者の確定申告不要制度
年金受給者の確定申告不要制度とは、公的年金等の収入金額と所得金額が一定額以下である場合に、所得税の確定申告書の提出が不要になる制度のことをいいます。
年金受給者の確定申告不要制度が適用される基準は、以下の通りです。
- 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下
- 公的年金等以外の所得金額が20万円以下
- 公的年金等の源泉徴収票やそれ以外の所得で源泉徴収税額がない
これらの3つの基準を満たしている場合には、確定申告書の提出は不要になります。
確定申告書の提出が不要かどうかは、公的年金等の源泉徴収票を確認すればわかります。
公的年金等の収入金額については、源泉徴収票の「支払金額」が400万円以下であるかどうかを確認します。
公的年金等以外の所得金額については、収入金額から経費等を差し引いた「所得金額」が20万円以下であるかどうかを確認します。
ただし、所得税の還付がある人や、確定申告書の提出が要件となる特例を受ける人は、確定申告が必要になるので、注意しましょう。
所得税の還付がある場合の確定申告
所得税の還付がある場合とは、以下の通りです。
- 所得控除がある場合
- 税額控除がある場合
それでは、それぞれの控除について、詳しく見ていきましょう。
所得控除がある場合
所得控除がある場合には、以下のようなものがあります。
・10万円以上の医療費を支払った場合(医療費控除)
・社会保険料を振り込みで支払っている場合(社会保険料控除)
・災害や盗難に遭った場合(雑損控除)
このように、人生におけるイベントがある場合には、その人の個人的事情を考慮して、所得税の一部を返す「所得控除」が用意されています。
上記の場合には、それぞれが控除の対象となるため、払い過ぎていた税金が戻ってくる可能性があります。
控除の種類によっては、控除額が大きいものもあるので、払い過ぎていた分を取り返すためにも、しっかりと確定申告をしましょう。
税額控除がある場合
税額控除がある場合には、以下のようなものがあります。
・住宅を購入/リフォームした場合(住宅ローン控除)
・株式投資などによる配当金を受け取った場合(配当控除)
・源泉徴収税額
税額控除とは、所得金額に税率を掛けて計算した税額から一定額を差し引くことのできる制度のことをいいます。
一方、所得控除とは、扶養控除や医療費控除などのことをいい、所得金額から一定額を差し引くことができる制度です。
このように、税額控除と所得控除では、差し引くものの金額が異なるのが特徴です。
所得控除とは異なり、税額控除の場合は確定申告をしなければ適用されることはありません。
そのため、適用される税額控除がある場合には、損をしないように確定申告を行いましょう。
確定申告が必要かどうかを判断して、正しく手続きをしよう!
年金受給者の場合、年金の支給時に源泉徴収はされているものの、会社のように年末調整をすることはできません。
ここで、確定申告をしなくて良いかどうかを判断するのに重要なのが「確定申告不要制度」ですが、基準を満たしている場合には、確定申告の必要はありません。
ただし、不要制度の基準を満たしていたとしても、扶養控除や医療費控除などの還付を受ける場合には、確定申告が必要になります。
また、2ヶ所以上から年金を受給している場合にも、確定申告は必要です。
このように、確定申告が必要な人は異なるため、上記を参考に、確定申告が必要かどうかを判断して、正しく手続きを行うようにしましょう。