慶弔休暇とは?有給なのか無給なのか・取得は就業規則の定めによる
慶弔休暇とは、結婚式や葬式などの際に、会社を休むことのできる制度となります。
しかし、結婚式はだいたい土日に行われることが多いですし、葬式に参加することも、それほど頻繁ではないのではないでしょうか。
そのため、慶弔休暇を使う機会自体、あまり多くないため、慶弔休暇とはどのような制度なのか、有給なのか無給なのかなど、くわしく理解しているという人は多くないのではないでしょうか。
そこで、ここでは、慶弔休暇とは、有給なのか無給なのかなど、どのような制度なのかについて、くわしく見ていきたいと思います。
目次
慶弔休暇とは?有給なのか無給なのか
慶弔休暇とは、会社においてどのような制度なのでしょうか。
そもそも、会社の休みには、休日と休暇というものがあります。
まずは、休日と休暇の違いについて見ていきたいと思います。
休日と休暇の違いとは?
労働基準法においては、休日と休暇というのは、異なるものを意味します。
使用者である会社には、労働者に一定日数の休日を与える義務があります。
そして、労働基準法においては、毎週1日、または、4週間を通じて4日間以上の休日を設けるように定められています。
これは、法定休日と呼ばれるもので、最低限の休日となります。
一般的には、この法定休日に加え、会社独自の法定外休日が設けられています。
これに対して、休暇というのは、本来働かなければならない日の中において、労働を免除される日を指します。
そして、この休暇というのは、さらに、法定休暇と特別休暇に分けられます。
法定休暇と特別休暇の違いとは?
法定休暇とは、法令が根拠となっている休暇のことであり、特別休暇とは、就業規則により会社が独自に定めるものです。
法定休暇には、年次有給休暇、生理休暇、産前産後休暇、育児休暇、介護休暇、子の看護休暇などがあります。
この中で、年次有給休暇は、給与の支給義務が発生する休暇ですが、育児休暇、介護休暇などは、労働基準法に定められていますが、会社が給与を支給する義務はありません。
特別休暇には、リフレッシュ休暇、バースデー休暇、アニバーサリー休暇、慶弔休暇、病気休暇、ボランティア休暇などがあります。
慶弔休暇は無給でも問題ない?
このように、慶弔休暇とは、労働基準法など法律に基づくものではなく、会社独自に定められている休暇となります。
そのため、会社によっては、取得自体できない場合もありますが、法律上、問題ありません。
慶弔休暇が取得できるかできないかは、その会社の就業規則次第となります。
また、慶弔休暇を取得できる場合でも、慶弔休暇の期間は、無給である会社もあります。
慶弔休暇の取得方法・取得例・取得日数・注意点は?
それでは、このような会社独自の慶弔休暇ですが、どのように取得するのでしょうか。
また、どのような場合に、どの程度の日数が取得できるのかについて、くわしく見ていきたいと思います。
慶弔休暇の取得方法は?
慶弔休暇の取得方法は、会社のルール次第となります。
どのような場合に慶弔休暇を取得できるのか、何日前までに、どのように、誰に・どこの部署に申し出るのかなどが定められているはずです。
そのため、就業規則にどのように定められているのかを知っておく必要があります。
申請用の書式がある場合もあるかと思いますが、基本的には、以下の内容が伝われば問題なく取得できることが一般的です。
- 申請者名
- 申請理由
- 希望日程
- 連絡先
特に、突然、身内に不幸があったなどと訃報が入り、すぐに帰省しなければならない場合などには、正しく連絡できるようにしておきたいものですね。
慶弔休暇の取得例・取得日数は?
慶弔休暇が取得できる場合や、その際の日数については、会社ごとに定められており、「こうあるべきだ」というものはありません。
しかし、厚生労働省では、モデル就業規則というものが公表されています。
そこには、慶弔休暇について、以下のように示されています。
(慶弔休暇)
第28条 労働者が申請した場合は、次のとおり慶弔休暇を与える。
① 本人が結婚したとき __日
② 妻が出産したとき __日
③ 配偶者、子又は父母が死亡したとき __日
④ 兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母又は兄弟姉妹が死亡したとき __日
(「厚生労働省」ホームページより)
これを参考に、それぞれの会社において、必要な期間を具体的に定めるよう記されています。
取得自体は義務ではありませんが、慶弔休暇が定められている場合の目安について、ご紹介いたします。
一般的な会社では、上記のように定められていることが多いようです。
①については、新婚旅行のことを考えると短いように思えるかもしれませんが、有給休暇と合わせて取得すれば、十分な日数となるでしょう。
③についても、同様ですよね。
遠方である場合もありますし、配偶者が亡くなった場合には、3日で職場に復帰できなさそうに思えます。
こちらについても、有給などを組み合わせるのが良いでしょうね。
慶弔休暇の取得の際の注意点は?
慶弔休暇は、会社ごとに就業規則で定められているものです。
そのため、権利として、ルールに従って取得することは可能ですが、取得の際に気を付けたい点があります。
- 慶事の場合はできるだけ早めに申請すること
- 弔事の場合の証明などを提出すること
- 休暇取得後のマナーに注意すること
それぞれについて、くわしく見ていきたいと思います。
慶事の場合はできるだけ早めに申請すること
結婚や出産などの慶事の場合は、できる限り、早めに申請することが重要です。
就業規則では、「何日前までに」となっていたとしても、それよりも、早めに分かっているのであれば、できるだけ早めに申請するのが良いでしょう。
特に、自分自身の結婚となると、合わせて、有給を取得して、新婚旅行に行く場合もあります。
そのような場合には、かなり長期的に会社を休むことになりますので、その間の業務に支障がでないようにしておく必要があります。
弔事の場合の証明などを提出すること
弔事の場合は、急な出来事となるので、早めに申請できるものではありませんが、会社からお悔やみの弔電を送ってくれることがあります。
そのため、会社には、故人の名前や葬儀の日時・場所などを報告する必要がある場合もあります。
また、弔事の場合には、葬儀を行ったという証明書の提出が必要となる場合もあるので、注意が必要です。
一般的には、葬儀や通夜の参列者に渡される会葬礼状、死亡診断書、火葬許可証などの提出が求められます。
休暇取得後のマナーに注意すること
休暇取得後には、会社の周りのスタッフへのお礼やお詫びなどのマナーに注意が必要です。
就業規則で認められた休暇とはいえ、その間の業務へのフォローをしてくれたのは、周りのスタッフとなります。
今後もお互いに休暇を取得しやすい環境づくりというのは、職場環境づくりにとって、非常に重要となりますよね。
そのため、お互いに気持ちよく休暇を取ることができようにしましょう。
慶弔休暇は法律上の休暇ではない
上記で見てきたように、慶弔休暇というのは、法律上の休暇ではありません。
そのため、会社によっては、無給での休暇の場合もありますし、そもそも、定めのない会社もあります。
自分の会社に、慶弔休暇の制度がない場合には、損した気持ちになるかもしれませんが、「あればラッキー」くらいに思っておいた方が良いのではないでしょうか。
会社としては、このような特別休暇制度が充実していることや休日数が多いことは、会社のイメージアップや従業員のモチベーション向上に役立ちます。
そのことは、優秀な人材確保へとつながります。