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国民年金基金の破綻リスクの確率は?可能性あるなら加入は危険か

国民年金基金は、加入時の性別や年齢によって、将来に受け取れる年金受給額が確定していることが最大のメリットであるといえます。

しかし、一度加入すると脱退不可能であること、支払った掛け金は脱退したとしても受給開始年齢を迎えるまでは受給できないこと等、デメリットも多くあります。

また、国民年金基金は国の管理のもとで運用が行われているため、国の財政状況が悪化するにつれて、破綻するリスクがあるのも現状です。

少しでも破綻のリスクがあるのであれば、「将来の年金はちゃんと受け取れるの?」「確定していた年金額にも影響があるの?」と不安になってしまいますよね(^^;

ここでは、国民年金基金の財政状況について触れつつ、破綻するリスクや確率、実際に破綻した場合にどうなるのか等について、詳しく見ていきたいと思います。

国民年金基金の財政状況は?破綻するリスクはあるの?

国民年金基金の加入者数は、1991年の設立以降は増加傾向にありましたが、2003年に78万人を超えた後は減少を続けています。

また、国民年金基金の加入対象者である国民年金の第1号被保険者も減少していることから、今後も新規加入者が大きく増えていくとは考えにくい状況にあります。

国民年金基金連合会が公表している財政状況の推移によると、2018年度にはプラスの運用収益だったにも関わらず、年度末の純資産額は前年度より減少しており、年金給付が掛け金収入を上回る状況にあります。

このように、国民年金基金の運用は2018年度末の時点で20%の積立不足に陥っており、苦しい状況になりつつあります。

破綻するリスクが大きいとは言い難いですが、これからの運用次第では、年金の財政状況がますます苦しくなることが予想されます。

国民年金基金が破綻する確率は?解散した場合はどうなるの?

国民年金基金が破綻する確率は?

国民年金基金が破綻する確率は、現状では限りなくゼロに近いといえます。

しかし、年金の財政状況は徐々に悪化していること、掛け金収入と年金給付の額が逆転していることを踏まえると、積立金が不足し続けることが予想されます。

そのため、今すぐに破綻するという確率は低いものの、将来的に破綻するリスクがないと言い切ることは難しいといえます。

また、破綻する危機を避けるために、国民年金基金では、財政状況を改善させるための策を下記のように提案しています。

それでは、破綻を回避するための改善策について、詳しく見ていきましょう。

国民年金基金が解散した場合はどうなるの?

国民年金基金が破綻するのを回避するための改善策は、以下の通りです。

  • 国民年金基金を解散し、残余財産額を加入員および受給者などで分配する
  • 分配される額を国民年金基金連合会へ移管して、将来年金として受け取ることができるような措置を講じる

これらの改善策は、「国民年金基金加入にあたっての重要なお知らせ」に記載されています。

まず、「国民年金基金を解散し、残余財産額を加入員および受給者などで分配する」ということは、今までに支払った掛け金を満額返還するのではなく、国民年金基金に残っている財産額(資産額)を加入員および受給者に分配するということになります。

つまり、今までに支払った掛け金よりも少ない年金受給額が支払われる可能性が極めて高いということです。

これでは、国民年金基金のメリットである「終身年金」「確定年金」が受け取れないどころか、支払った掛け金が戻ってこないので、結果としては損をしてしまうことになります。

また、「分配される額を国民年金基金連合会へ移管して、将来年金として受け取ることができるような措置を講じる」ということは、分配される額を国民年金基金の資産にして、受給者に支給できるようにするということになります。

例として挙げると、2011年度末に1兆4000億円を超えたことを受けて、2014年4月以降からは新規加入者の保険料が7%引き上げられました

このように、積立金不足が発生すると、受給者に年金額を支給するために新規加入者の掛け金を値上げしたり、予定利率を下げる等をして財政状況を調整しているのが現状です。

これを踏まえると、新規加入者への負担は大きいように感じますよね。

現状では、破綻するリスクが低いといっても、将来的に受給できる年金額が減額される可能性は大いにあり得るため、これ以外にできる老後の資金準備を併用して行う方がより安心できるといえるでしょう。

破綻する可能性も考えて加入するかどうかを検討しよう

現状では、国民年金基金が破綻するリスクは限りなく低いといえます。

しかし、積立金不足は徐々に加速しており、将来的には深刻な問題になりうるものであるといえるでしょう。

ただ、国民年金基金にはデメリットだけではなく、加入する年齢が若ければ若いほど、少ない掛け金で年金を増やせるほか、掛け金が全額所得控除の対象となるなどのメリットもあります。

破綻するリスクを考えておくことも重要ですが、自分に合った老後の資金準備ができるかどうかを前提に、加入するかどうかを検討するようにしましょう。