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厚生年金の加入期間20年でもらえる加給年金とは?主婦・独身の場合

厚生年金には、配偶者や子どもなどの扶養している家族がいる場合、年金を多く受け取ることができる「加給年金」というものがあります。

加給年金は、厚生年金の加入期間が20年以上ある人が65歳になった場合に、年下の配偶者が65歳になるまでは、受給額に加給年金が上乗せされる制度になります。

そのため、加給年金受給者の厚生年金の加入期間が20年に満たない場合や、配偶者が年下でない場合など、支給要件を満たしていない場合には、加給年金を受給することはできません

また、夫婦の年齢差が多くなればなるほど加給年金額が増加するのが加給年金制度になりますが、妻が専業主婦である場合や、独身の場合の加給年金はどうなるのでしょうか?

ここでは、加給年金を受け取るための厚生年金の加入期間や支給要件、主婦・独身の場合などの加給年金額について、詳しく見ていきたいと思います。

厚生年金の加入期間20年の壁とは?

加給年金制度を利用するためには、厚生年金の加入期間が20年以上(240ヶ月以上)あることが前提となります。

そのため、加入期間が239ヶ月など、1ヶ月でも足りない場合には、加給年金制度を利用することができません。

たった1ヶ月だとしても、約20~40万円の加給年金を受け取ることができないと考えると、すごくもったいないですよね。

また、加給年金の受給者側の支給要件を満たしていたとしても、配偶者の方の厚生年金の加入期間が20年以上ある場合には、受給者側は加給年金がもらえなくなります

このように、加給年金を受け取るためには、「20年の壁」が影響してくるわけですね。

その他にも、加給年金を受け取るための要件を満たしていない場合には、加給年金を受け取ることができなくなるため、注意が必要です。

では、支給要件や受給のしくみ、主婦・独身の場合などの加給年金額について、詳しく見ていきましょう。

加給年金制度は年の差夫婦に得がある?主婦・独身の場合は?

加給年金の支給要件とは?

加給年金を支給されるための要件は、以下の通りです。

  • 厚生年金の被保険者期間が20年以上ある(受給者側)
  • 厚生年金の受給権を取得した時、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる
  • 厚生年金の受給権を取得した時、18歳に達した後、最初の3月31日までの子どもがいる
  • 配偶者もしくは子どもの収入が、年収850万円未満または所得が655万5千円未満であること

これらの要件を満たしている場合には、厚生年金の受給が始まってから配偶者が65歳に達するまで、もしくは、子どもが18歳の到達年度の末日を迎えるまでの間、加給年金を受け取ることができます。

また、例外として、中高齢の資格期間の短縮の特例の対象となっている場合(昭和26年4月1日以前に生まれた人)は、厚生年金保険の被保険者期間が15~19年の場合でも加給年金を受け取ることができます。

加給年金の受給のしくみについて

<事例1>
受給者→夫:65歳であり、厚生年金の加入期間が20年以上ある
配偶者→妻:62歳であり、厚生年金の加入期間が20年未満である

加給年金の支給要件を満たしている場合には、妻が65歳になるまでの間、加給年金を受け取ることが可能になります。

つまり、妻が65歳になるまでの3年間、夫が受給できる年金額に加給年金額が上乗せされるわけですね。

また、事例1では年齢差は3歳差になりますが、この年齢差が大きくなればなるほど、加給年金を多く受け取ることが可能になります。

<事例2>
受給者→夫:65歳であり、厚生年金の加入期間が20年以上ある
配偶者→妻:61歳であり、厚生年金の加入期間が20年以上ある

上記の事例では、夫と妻の両者が厚生年金の加入期間が20年以上にわたりますが、年齢差が比較的ある場合には、加給年金が受給できる場合があります。

つまり、妻の特別支給の老齢厚生年金の受給権が発生するのは63歳で、その時の夫の年齢は67歳であるため、妻が65歳になるまでの2年間は加給年金を受給できることになります。

また、妻の月給が高く、65歳未満で年金が全額停止となっている場合や、妻が雇用保険の基本手当を受けているため、年金が停止となっている場合には、夫に加給年金が支給されます。

主婦・独身の場合の加給年金はどうなる?

加入年金の制度は、年の差がある夫婦に支給されるものです。

独身の場合には、加給年金の要件を満たしていないため、受給額に上乗せすることはできません

しかし、配偶者が専業主婦または専業主夫の場合でも、年の差がある夫婦であるなど、支給要件をクリアしているのであれば、加給年金を受給することができます

厚生年金への加入はパートやアルバイトでもできるため、企業で働いた期間が15年あり、一時期を専業主婦となった後、パートで厚生年金に加入することも可能です。

本来であれば、パートとして5年以上働くと厚生年金の被保険者期間が20年を超えてしまいますので、20年を超えた時点で加給年金は支給停止されます。

しかし、20年を経過した時点でも同じパート先で働き続けている場合には、65歳を迎えるまでは、加給年金を受給し続けることができます

つまり、20年を経過した時点で転職をした場合には、加給年金が支給停止されてしまいます。

このように、制度を理解した上で働くことによって、老後に受け取れる年金受給額が変わってくるため、損をしないように注意しましょう。

加給年金で受け取ることができる金額とは?

加給年金の対象となる家族がいる場合には、受給額に上乗せされる金額は対象者によって変わってきます。

詳しい加給年金の特別加算額は、以下の通りです。

◆配偶者→224300円
◆1人目・2人目の子ども→各224300円
◆3人目以降の子ども→各74800円

また、厚生年金を受給している人の生年月日に応じて、配偶者の加給年金額に33200円~165600円が特別加算されます

受給者の生年月日特別加算額加給年金額の合計額
昭和9年4月2日~昭和15年4月1日33200円257700円
昭和15年4月2日~昭和16年4月1日66200円290700円
昭和16年4月2日~昭和17年4月1日99400円323900円
昭和17年4月2日~昭和18年4月1日132500円357000円
昭和18年4月2日以後165600円390100円

厚生年金の受給額を知りたい場合には、計算式に当てはめることで算出することができます

算出した受給額に上記の加給年金を加算した金額が、受給者に支給されることになるため、老後に受け取れる年金の目安金額を求めることができます。

将来受け取れる年金額を増やしたい場合には、本来受け取れる受給額を目安に、それに加算できる制度を利用する上での働き方を考えることが重要です。

夫婦の年齢差が大きくなればなるほど加給年金は増える

加給年金制度にはいくつかの要件がありますが、夫婦の年齢差が大きくなればなるほど、加給年金額は増えていきます。

そのため、年の差夫婦の方が、老後に受け取れる金額を賢く増やすことができるので、お得といえるかもしれませんね。

また、加給年金制度以外にも、任意加入や国民年金基金、個人年金などの制度を条件に合わせて利用することで、受給額を増やすことができます。

老後のためにも、それぞれの制度についてしっかりと理解しつつ、賢く活用していきたいですね(^^♪