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社会保険料変更時期・タイミングは9月?標準報酬月額定時決定とは

経理・労務を担当している方や小規模な事業所の経営者の方は、毎月の従業員の給与を計算しているかと思います。

そして、毎月、その給与から社会保険料である健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料、住民税、所得税などを控除しますよね。

これらの控除する金額は、一度、決めたものがそのまま同じ金額のままであれば、楽なのですが、給与が変われば、社会保険料などは変わってしまいます。

給与額を変更した場合は、随時変更の決定をしますが、それ以外に、社会保険料を変更する時期というのが、標準報酬月額を定時決定するタイミングとなります。

ここでは、社会保険料の変更時期である標準報酬月額の随時決定と定時決定についてみていきたいと思います。

標準報酬月額はどのように決まる?

標準報酬月額が決まるのは、以下の3つの場合です。

  1. 資格取得時
  2. 定時決定
  3. 随時改定

では、それぞれについてみていきましょう。

資格取得時の標準報酬月額決定とは?

正社員で雇用する場合は、原則、社会保険に加入する義務があります。

その際に「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」というものを提出します。

これによって、標準報酬月額が決まり、翌年8月まで適用されます。

アルバイトやパートでも条件を満たしている場合は、社会保険の加入対象となりますので、注意が必要です。

標準報酬月額の定時決定とは?

毎年、事業主は、社会保険に加入している被保険者の4月~6月の報酬月額の届出を行います。

これを算定基礎届と言いますが、この内容にもとづいて毎年1回標準報酬月額を決定しなおします。

この算定基礎届の提出は、毎年、7月10日までとなっているので、遅れないように注意が必要です。

これを定時決定といい、9月から翌年8月までの標準報酬月額が決定されます。

標準報酬月額の随時決定とは?

基本的には、年1回の定時決定により、標準報酬月額は9月から翌年8月までの1年間適用されます。

しかし、何らかの理由で従業員の給与に大きな変更があった場合には、「随時決定」と呼ばれる変更を行う必要があります。

随時改定は、以下の条件にすべて該当する従業員が現れた場合、事業主は随時決定の手続きをしなければいけません。

  • 昇給・降給により固定的賃金の大幅な変動がある
  • 支払基礎日数が17日以上ある
  • 2等級以上の差が生じている

給与額が変更され、固定的賃金が2等級分以上変わったという状態が3ヶ月以上続いた場合に適用されるということです。

しかし、2等級以上というのは、数千円の昇給や降給では変わりません

数万円など大幅に給与が増額した場合に該当しますが、これは以下の場合に起こるのではないでしょうか。

  • 昇給や降給によって給与が変動した場合
  • 時給制から月給制に変わるなど給与形態が変更された場合
  • 時給や日給が上がった場合
  • 通勤手当や住宅手当などの各種手当が新たに追加された場合

昇給などは、基本的に4月などの年次昇給になりますが、それを待たずに、昇給や昇格するべき、大きな成果を発揮した場合などは、これに該当するでしょうね。

社会保険料が変更されるタイミングは?

定時決定の際には、算定基礎届を提出すると、年金事務所で新しい標準報酬月額が決定され、会社宛に「標準報酬決定通知書」という通知書が送られてきます。

この「標準報酬決定通知書」には、社会保険に加入しているそれぞれの従業員の9月から翌年8月までの新しい標準報酬月額が書かれています。

給与計算においては、新しい標準報酬月額をもとに、社会保険料を計算し直さなければいけません。

新しい保険料率は9月から適用となりますが、いつの分の給与から適用されるのでしょうか?

9月から適用といっても、必ずしも、9月に支給する給与から変更すれば良いわけではありません。

毎月の給与から控除している社会保険料が、「何月分の保険料を控除しているのか」を考えて、変更のタイミングを決める必要があります。

これは、社会保険料が当月控除なのか、翌月控除なのかをもとに考える必要があります。

毎月の給料は何月分の保険料を控除しているのか

そもそも、 毎月、給料から控除している社会保険料がいつの分なのかを、まず考えます。

当月控除の場合

9月に支給される給与から天引きされるのが9月分の社会保険料の場合は、9月支給分の給与から新しい保険料率を適用します。

翌月控除の場合

9月に支給される給与から天引きされるのが8月分の社会保険料の場合は、10月支給分の給与から新しい保険料率を適用します。

当月分給与を当月末に支給している場合

当月分給与を当月末に支給している場合は、以下のようになります。

前月分の社会保険料を翌月分給与から控除している場合
⇒10月分の給与で10月末支給の給与から

当月分の社会保険料を当月分給与から控除している場合
⇒9月分の給与で9月末日支給の給与から

以上のようになります。

前月分給与を翌月25日に支給している場合

給与が月末締め、翌25日払いの場合について、以下の4パターンに分けて考えてみましょう。

前月分の社会保険料を翌月分給与から控除している場合
⇒10月分11月25日支給の給与から

当月分の社会保険料を翌月分給与から控除している場合
⇒9月分10月25日支給の給与から

当月分の社会保険料を当月分給与から控除している場合
⇒9月分10月25日支給の給与から

前月分の社会保険料を当月分給与から控除している場合
⇒8月分9月25日支給の給与から

以上のようになりますので注意が必要です。

給与の締め日と支払日は、他のパターンもあるかもしれませんが、上記の2パターンを活用させれば、いずれの場合にも対応できるのではないかと思います。

毎年9月以降の給与計算には注意が必要です!

社会保険料控除額が変更になることは、被保険者の方に伝える必要があります。

そして、ご自身の会社が、当月控除か翌月控除なのかを考えて、9月支給分の給与からなのか、10月支給分の給与からなのかを考えて、新しい社会保険料を適用する必要があります。

給与では、社会保険料だけでなく、所得税も天引きしますが、所得税の計算は、給与から社会保険料を控除した額を用います。

そのため、社会保険料の控除額が変わると、それにともなって所得税の金額が変わる場合があるので注意が必要です。

万が一、社会保険料や所得税などの控除額を間違えてしまった場合は、翌月以降の給与や年末調整で調整することが可能です。

しかし、給与や控除額の間違いというのは、会社への不満につながってしまいます。

社会保険料の変更時期を間違えないように把握しておき、給料計算は慎重に行いましょう♪