確定申告が必要な人!退職者は税金の還付あり?退職金受け取った場合
会社員などの給与所得者は、基本的には、会社を通じて年末調整を行ってもらうため、確定申告をする必要はありません。
ただし、年度途中での退職者など、年末時点で転職など再就職していない場合は、年末調整を行っていないことになるため、自分自身で確定申告を行う必要があります。
このような人の場合には、確定申告を行うことで、税金の還付などのメリットがあるのでしょうか。
そこで、ここでは、確定申告が必要な人である退職者の手続きについて、くわしく見ていきたいと思います。
目次
退職者が確定申告を行う必要がある場合は?
会社を退職した後、確定申告を行う必要がある場合とは、以下のような場合となります。
- 退職後、転職など再就職していない場合
- 個人事業主やフリーランスになった場合
- 結婚して専業主婦となった場合
それぞれについて、くわしく見ていきたいと思います。
退職後、転職など再就職していない場合
会社では、年末時点で在籍している従業員に対して、年末調整を行います。
そのため、年末時点で、再就職していれば、その会社で年末調整をしてもらえます。
年末時点で、再就職していない場合には、会社で年末調整をしてもらえないため、自分自身で確定申告を行う必要があります。
年度の途中で退職するまでは、勤務先の会社で、多めに源泉徴収されている可能性が高いので、確定申告をすることで、税金が還付される確率が高くなります。
個人事業主やフリーランスになった場合
退職後、独立開業して、個人事業主やフリーランスになった場合には、会社員のときの給与所得とフリーランスになってからの事業所得があることになります。
給与所得も事業所得も総合課税方式で課税されることになるため、両方の所得の合計額に対して課税されます。
確定申告の際には、給与所得の欄には、源泉徴収票に記載されている給与所得控除後の金額を記入します。
また、事業所得の欄には、フリーランスでの収入から必要経費を差し引いた所得を記入します。
この両方を合計し、総所得金額を計算してから課税所得を計算することになります。
結婚して専業主婦となった場合
結婚にともない、夫の扶養に入り、専業主婦になった場合でも、確定申告を行う必要がある場合もあります。
年度途中に結婚して扶養に入った場合は、それまでは、会社員、もしくは、パートやアルバイトとしての給与所得があることになります。
そのため、扶養に入った場合も、上記の年度途中で退職した場合と同様の扱いとなります。
退職者が確定申告を行う方法は?
それでは、退職者のうち、確定申告が必要な場合について、どのように確定申告を行えば良いのでしょうか。
確定申告はいつどこで行えば良い?
確定申告の期間は、毎年2月16日~3月15日となります。
3月15日が土日祝日の場合は、翌月曜日までが期限となります。
提出先は、住所地を管轄する税務署となります。
確定申告書の提出方法は以下の3種類となります。
- 管轄の税務署に持参
- 管轄の税務署に郵送
- e-Taxを使用して電子申請する
郵送の場合には、期間内の消印が必要となりますので、早めに送るように注意が必要です。
確定申告は、期間内に行わないと、無申告加算税や延滞税などのペナルティの対象となる場合がありますので、注意が必要です。
確定申告書の入手方法は?
確定申告の際に提出する確定申告書は、どのようにして手に入れれば良いのでしょうか。
手書きで作成する場合には、以下の方法で手に入れることができます。
- 1月以降に税務署や確定申告の相談会場で入手する
- 国税庁のホームページからダウンロードする
パソコンで作成する場合には、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーで作成することができます。
確定申告書作成コーナーを利用して作成した場合には、e-Taxという電子申告システムを使い、オンライン上で手続きを行うことが可能です。
この場合は、提出までをパソコンで完結できるため、非常に便利ですが、事前に利用登録する必要があります。
確定申告書のAとBはどちらを使用すれば良い?
確定申告をする際の申告書には、申告書Aと申告書Bがあります。
どちらを使用するのかは、自分で選択しなければいけません。
申告書Aは簡易的なものになり、申告書Bは、所得の種類に関わらず誰でも使用できるものとなります。
申告書Aは、申告する所得が給与所得、雑所得、配当所得、一時所得のみであり、予定納税のない場合に使用する申告書です。
予定申告とは、前年の所得税が15万円以上だった場合に前払いで納める税金のことです。
そのため、会社員の人や退職後に確定申告をする場合などは、申告書Aを使用する方が良いでしょう。
申告書Bは、個人事業主やフリーランス、副業の収入がある人の場合のように、事業所得や不動産所得がある人が使用するものとなります。
確定申告の際に必要な書類は?
確定申告の際に、申告書A、もしくは、申告書B以外には、どのような書類が必要になるのでしょうか。
本人確認書類
マイナンバーカードがある場合には、マイナンバーカードを添付します。
マイナンバーカードがない場合には、マイナンバー通知カードと運転免許証などの身分証明書を添付します。
印鑑
認印が必要となります。
毎年、所得税を指定した口座から口座振替する場合には、銀行届印が必要となります。
金融機関の通帳、または、口座番号のわかるもの
所得税を口座振替で納税する場合や還付金の振込の場合に必要となります。
所得が証明できる書類
所得の種類に応じて、所得を証明するための書類が必要となります。
- 給与や報酬
源泉徴収票、支払調書 - 事業所得や不動産所得
青色申告決算書、収支内訳書(白色申告の方) - 株の取引での利益
年間取引計算書 - 土地や建物の譲渡による利益
譲渡時の売買契約書、購入時の契約書、仲介手数料や印紙代の領収書など
源泉徴収票や支払調書は、申告書を記入する際に使用しますが、添付して提出する必要はありません。
控除を受けるための証明書類
以下のように、必要な控除を受けるためには、証明書類が必要となります。
- 寄付金控除を受ける場合
寄付金受領証明書 - 保険料の控除を受ける場合
国民年金など社会保険料の控除証明書 - 医療費控除を受ける場合
医療費控除の明細書 - 副業の収入が年間20万円以上ある場合
支払調書 - 住宅ローン控除を受ける場合
住宅借入金等特別控除額の計算明細書、金融機関等からの借入金残高証明書、住民票、登記事項証明書(土地・建物)、不動産(土地・建物)売買(請負)契約書
退職時に退職金を受け取っている場合の確定申告は必要?
勤続年数によっては、高額の退職金を受け取る場合もあるかと思います。
そのような場合に、年度の途中での退職となると、退職金に関しても確定申告を行う必要があるのでしょうか。
退職金を受け取る際に、会社へ、退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)という書類を提出している場合には、確定申告を行う必要はありません。
退職金にかかる所得税は、通常の所得税より低くなるように定められています。
そのため、退職所得の受給に関する申告書を提出している場合には、上記の方法で所得税が天引きされたうえで、退職金が支給されています。
もし、退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合には、実際よりも多く所得税が天引きされていることになるので、確定申告により、還付が行われます。
年度途中の退職の場合は、還付される可能性が高い
会社に勤めている場合に、毎月、所得税が天引きされていますが、これは、多めに徴収されていることが一般的となります。
そのため、会社の年末調整の際には、いくらか還付金がもらえたという記憶のある人も多いかと思います。
ですので、年度の途中で退職した場合にも、多めに、所得税を徴収されている可能性が高く、確定申告によって、還付を受けられることが多いです。
退職している場合には、少しの金額でも、戻ってくるとラッキーですよね♪
ちなみに、還付申告は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
遡って還付できる可能性のあるものがある場合には、是非、利用したい制度ですね(^^)