【事例12】過去に自己破産したことのある人の会社設立
【事例12】過去に自己破産したことのある人の会社設立
数年前に会社を経営していましたが、倒産させてしまい、自己破産の手続きをとりました。また新たに会社を設立して、事業に再チャレンジするつもりです。ただ、自己破産者は取締役になることができないので、代わりになってくれる人を探そうと思っています。
失敗のポイント
自己破産者は取締役になることができないと思っていました。新会社法施行前は、自己破産の手続き開始後、復権するまでの人は取締役になることができませんでしたが、今は可能です。
正しい対応
過去に自己破産した人も、取締役になることができます。ただし、業種によっては許認可の取得ができない場合があるので確認してください。
また、「代わりになってくれる人」とありますが、役員に就任すると、役員としての法的責任が生じますので、後々トラブルにならないよう注意しましょう。
また、「代わりになってくれる人」とありますが、役員に就任すると、役員としての法的責任が生じますので、後々トラブルにならないよう注意しましょう。
【解説】
以前は、自己破産をした人は、その手続きを開始してから免責の決定を受け復権するまでは取締役になれませんでした。
中小企業では経営者が会社の債務を個人保証していることが多く、会社が破産すると結果として経営者も自己破産するケースが多く見受けられました。経営者が自己破産したことを理由に、再度市場に参入することができないとなると、経済の活性化にブレーキをかけてしまうおそれがあります。そこで、新会社法ではこの欠格事由がなくなり、復権を得ていない人も取締役になることができるようになりました。かつて事業に失敗した人も、起業して再チャレンジできるようになったわけです。
ただし、会社法上は取締役になることが可能でも、各業種法上、許認可が取得できない場合があります。たとえば、建設業は、破産後復権を得ていない人は欠格要件に該当し、許可を取得することができません。会社を設立しても、営業ができなければ意味がないので、許認可が必要な業種の場合は事前によく確認しましょう。
なお、取締役が任期中に自己破産した場合は、民法の規定により委任関係が終了し、自動的に退任することになります。しかし、すぐに株主総会を開催して、再度取締役に選任することができます。
ただし、退任・再任のいずれも登記が必要です。
この記事を読んで分かること
- 法人(株式会社含む)
- 成年被後見人または被保佐人
- 会社法、証券取引法、破産法、民事再生法など会社関係の法律に違反し、刑の執行が終わるまで、またはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない人
- 上記以外の法令の規定に違反し、禁固以上の刑に処せられ、その執行を終えていない人、またはその執行を受けることがなくなるまでの人(執行猶予中の人は除く)
マリオ教授
一度破産するとすべてが終わってしまう、という世の中でもなくなったので、十分な準備が整ったら再起してみるのもよいでしょう。