【事例06】資本金1円で会社を設立する
【事例06】資本金1円で会社を設立する
サラリーマンから独立し、株式会社を設立して事業をはじめたいと思っています。資金はあまりありませんが、いまは資本金1円でも会社を作ることができるそうです。どうせなら資本金1円で会社を作り、運転資金として必要な分は金融機関から借りようかと思います。
失敗のポイント
あまりよく考えずに、資本金1円で会社設立をしようとしています。資本金が1円では融資を受けるのも難しいでしょう。
正しい対応
1円でも会社設立は可能ですが、現実的には運転資金・融資・対外的な信用などの面から併せて考え、資本金額を決定する必要があります。
【解説】
2006年の新会社法の一番の目玉は、最低資本金額の規制がなくなったことです。それまでは1,000万円の資本金が必要でしたが、資本金1円でも株式会社を設立することができるようになりました。それで、「1円起業」という言葉がよく聞かれるようになりました。しかし、現実問題としては1円では起業できません。会社設立のためにも30万円程度の費用がかかりますし、事業を行っていくには運転資金が必要です。
資本金は、事業を運営していくのに大事な元手となります。通常、会社を設立してすぐに取引先から入金が十分にあるということはありません。資本金が1円しかなければ、取引先から入金があるまで、必要なものを買うことができなくなってしまいます。
今回のケースでは、運転資金は借り入れを起こして…と考えていますが、資本金が1円では融資を受けるのも難しいです。借り入れを申し込んだ場合、融資担当者は資本金を見ます。既存の会社の場合は、金融機関は直近3期分の決算書から、会社の安全性をチェックします。創業融資の場合は、まだ決算書がないので、どれだけ自己資金を用意したかが安全性を見る指標になるのです。なお、日本政策金融公庫の「新創業融資」は、自己資金の2倍が融資の限度額となっています。
マリオ教授
やっぱり周囲は資本金の額から最初は会社を評価するので、信頼できる会社作りをしましょう。