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【事例07】資本金1,000万円での会社設立にこだわる

【事例07】資本金1,000万円での会社設立にこだわる

 50歳での起業です。会社設立にあたり、やはり資本金は最低でも1,000万円と考えていたので、東奔西走し、個人でやや高利な借り入れもして何とか1,000万円にこぎつけました。
 専門家に会社設立を依頼したところ「そこまで1,000万円にこだわる必要があるんですか? デメリットもありますよ」と言われてしまいました。デメリットは考えていませんでした。

失敗のポイント
会社法改正前の「資本金1,000万円」にこだわってしまいました。自己資金で用意できているわけでもありませんので、そのデメリットも考えるべきでした。今回のケースでは資本金を集めるために借りた金利や、設立初年度から消費税が課税されることなどがデメリットになります。
正しい対応
新会社法では最低資本金額の規制がなくなっています。新会社法のメリットを活かし、事業計画に合った選択をする必要があります。資本金額の決め方について、考えるべき点をおさえておきましょう。

【解説】

かつては、有限会社は300万円、株式会社は1,000万円以上の資本金が必要でした。しかし、新会社法ではこの最低資本金額の規制がなくなり、1円でも会社を設立することができるようになりました(有限会社法は廃止され、新たな有限会社の設立はできなくなりました)。
 ただし、「事例6 資本金1円で会社を設立する」のように、現実には1円で会社を運営していくことはできませんので、元手として必要な金額等を考えて金額を決定することになります。

[資本金の額を決めるには]
・開業資金と運転資金から考える

 開業に必要な設備投資や家賃、仕入れ代金などの運転資金を計算し、事業が軌道に乗るまでどの程度の資金が必要かを考えます。業種にもよりますが、1つの目安は開業資金+設立時から3〜6ヶ月程度の運転資金を資本金とすることです。

・借り入れの面から考える

 創業融資を受ける場合は、一般的に資本金の額で融資の限度額が決まりますので、資本金が多いほうが多く融資を受けられる可能性があります。

・税金の面から考える

 資本金が1,000万円未満の会社は、設立後2年間は消費税が免除されます。(消費税法の改正により、資本金1,000万円未満の会社でも特定期間の課税売上高、または給与等支払額の判定により、設立後2年以内に課税事業者になる可能性もあります事例19「繁忙期と決算期が重なってしまった」参照)。
 資本金がちょうど1,000万円の場合はこれに該当せず、初年度から消費税を納めなくてはなりません。
 また、会社の利益に関係なく毎年納めなくてはならない税金に「法人住民税の均等割」がありますが、この税金は資本金と従業員数によって金額が変わります。たとえば、東京都の場合、従業員が50人以下で資本金が1,000万円以下の場合は7万円ですが、1,000万円を超えると18万円になります。
 さらに、資本金が1億円を超えると、外形標準課税が適用されて、赤字でも事業税が発生する、交際費が経費として認められないなど、中小企業向けの恩恵が受けられなくなります。

・許認可の面から考える

 許認可が必要な事業を行う場合は、人材派遣業なら2,000万円以上、一般建設業なら500万円以上というように資本金の額に条件がついている場合がありますので、確認しておきましょう。

・信用面から考える

 資本金は、会社の規模や信用力を見る指標の一つです。取引先が、資本金を一つの指標として重視することが考えられる場合は、多めに用意したほうがいいかもしれません。
 これらの面から考えて、事業計画にあった資本金を決定しましょう。

マリオ教授
マリオ教授

事業計画に合わせて、できる範囲で準備しましょう。

会社設立時の資本金はどう決める?必要な手続についても解説

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はじめに