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【事例28】対外的信用を得るため会社を設立したが、デメリットを考えていなかった

【事例28】対外的信用を得るため会社を設立したが、デメリットを考えていなかった

フリーのライターとして2年ほど仕事をしてきました。単発の仕事が多く、新規の仕事を獲得するのに苦労しています。実績もそれほど多くないので、なかなか信用を得られないのです。そこで、会社設立をすることにしました。会社として仕事を受けるようにすれば、発注側も安心感があると思います。大手企業は、法人でないと取引しないと聞いたこともあります。
 しかし、会社にしたら思った以上にコストがかかり、早くもフリーに戻ったほうがいいのでは…という気がしています。

失敗のポイント
 会社設立のデメリットを考えていませんでした。確かに、法人化すると信用度が高まる等のメリットがあります。しかし同時に、設立コスト・維持コストがかかる、決算手続きが煩雑になる等のデメリットもあります。
正しい対応
法人化のメリット・デメリットを確認し、よく検討しましょう。法人化のメリットがあまり活かせないようであれば、現段階では個人事業として継続したほうがいいかもしれません。

【解説】

法人化については、税金面でのメリットや対外的信用がよく言われます。確かに多くのメリットがありますが、反面、設立や維持に手間と費用がかかる等のデメリットもあります。
 法人化のメリット・デメリットを簡単にまとめておきましょう。

[法人化のメリット]
1.対外的信用が得られやすい

 会社は登記されており、決算書を公開しています。法務局に行けば誰でも会社の概要を簡単に把握することができます。そのため、個人事業に比べ社会的な信用を得やすいです。

2.必要な資金を集めやすい

 個人事業には出資という概念がないので、第三者から資金を集めるには、借入か、税金のかかる贈与になります。銀行融資も難しいのが現状です。
会社は、第三者から出資を募ったり、融資を受けたりすることができ、個人事業に比べて資金を集めやすいといえます。

3.事業が継続する

 個人事業では、事業は事業主に依存しますが、法人の場合は解散しない限り事業は継続します。

4.債務責任が有限

 万が一会社が倒産しても、借金を返済するのは会社であって、個人ではありません。株主は自分が出資した金額の範囲内で債権者に対して責任を負っています。一方、個人事業の場合は、事業に失敗すれば、負債はすべて個人の責任です。

5.役員報酬を払って節税できる

 個人事業と法人とでは税率の構造が違うので、収入によっては税務上有利な設定をすることができます。「給与」として会社から受け取ることにより、サラリーマンと同じような経費の控除(給与所得控除)ができ、また、家族を従業員にして、給与を支給することもできます。ただし、勤務実態が必要です。

6.青色欠損金を9年間控除できる

 青色申告をしていれば、赤字が出た場合に9年間(平成20年4月1日前に終了した事業年度については7年間)はその赤字を翌期に繰り越すことができます。個人事業の場合は3年間です。

[法人化のデメリット]
1.交際費の限度額

 個人事業の場合は接待交際費に上限はありませんが、法人では、経費として認められる上限が定められています。

2.住民税の均等割課税

 利益があってもなくても、法人住民税の均等割が課税されます。その金額は資本金額と従業員数によって異なりますが、最低でも年あたり7万円は納める必要があります。

3.決算手続きの煩雑化

 複式簿記による記帳と、貸借対照表・損益計算書等の決算書を作成しなければなりません。

4.維持に費用と手間がかかる

 会社の移転、役員の変更、増資・減資等がある都度、変更の登記を行う必要があり、登録免許税がかかります。

5.事業で儲けたお金を個人で自由に使うことができない

 会社のお金を個人で自由に使うことはできません。役員報酬は年に一度、事業年度開始の日から3ヶ月以内にしか変更できないので、儲けに応じて取り分を変更することはできません。

マリオ教授
マリオ教授

個人事業でも十分信頼を勝ち得ることはできます。法人化は便利なことだらけでもないので、慎重に行きましょう。

個人事業と会社設立どっちがおトク?

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はじめに